十五本目
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た。
闇が風を巻き込んで肥大する。
「当たれ!」
射離した瞬間、風を纏った闇が天に登った。
そして…ボーマンダを貫いた。
瀕死となった竜はまっ逆さまに落ちていき…沼に墜落した。
ガチゴラスとボーマンダ。
二つの切り札を失ったロケット団は潰走する。
だが、例えぼろぼろだろうと逃しはしない。
罰を受けてもらわなければいけない。
「逃すな!やり過ぎても構わん!捕らえろ!」
俺の声に、兵達が団員を拘束する。
こうしてマサラタウンに襲撃を仕掛けたロケット団は、全て捕縛された。
捕縛したロケット団を半数の兵に見張らせ、マサラタウンへ戻る。
何も隠さず、堂々と歩く。
危機が去った事を知らせなければいけない。
その途中、当然ながら弓の話となった。
「戦姫のヴィラルトに弓はない」
エレンが淡々と告げた。
「そもそも弓があったとはいえお前がヴェーダと同等の威力の攻撃をできたというのが…」
エレンが熟考に入った。
「不思議な弓と言えば、一つだけそんな伝承を聞いた事があります」
リムが思い出したかのように言った。
「ある男が女神より必中の弓を授かり、あらゆる敵を射倒しついには王となり、人は彼を『魔弾の王』と呼んだそうです」
「王って例の黒龍の化身か?」
「いえ、公国の神話に女神は登場しません。
それよりも古い時代の話でしょう」
するとエレンが嬉しそう…いや楽しそうに俺を見つめていた。
「『魔弾の王』か」
その顔は揶揄いたいと言っているような物だ。
「悪くないな。お前の事をそう呼ぼうか」
「じゃぁおれも『戦姫様』とか『銀閃の姫君』とよぼうか」
トンと頭をこづかれた。
「私が言ったのは王になるくらいと気概を持てという事だ。
揶揄っている訳ではない」
「ならそのニヤニヤした顔をどうにかしろ。
あと王にはならん」
仮にこの弓がそんな物だとしても、俺はそれで王になろうとは思わない。
「王になりたくないのか?」
とエレンに聞かれた。
「やだよ面倒くさい」
するとクスクスと笑われた。
「あぁ、そうだ。ティグルお前に言っておく事がある」
「今度はなんだ?」
エレンが俺の脇に正面から手を入れ、持ち上げた。
「お前は私の物だ」
そのときのエレンの顔は年相応で、可愛かった。
「そうだな。まずはあの侍女の事でも聞かせて貰おうか。
あのときのお前はとにかく必死だったからなぁ」
侍女…? あぁ、ティッタの事か。
たしかにティッタはエプロンドレスを着ているが別にメイドじゃぁないんだけど
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