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SAO -Across the another world-
二話 戦乙女の失踪
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昏睡状態にある被害者や、後遺症を訴える被害者が存在し、今では運営を委託された電子機器メーカーの株式会社レクトが早期解決に向けて努力している】

要約すれば、「ゲームの中で人が死んで、その事後処理が難航してます」と言う事であった。事件発生から二年近く経過した今でも、ニュースではこの事件の特集をしていたりする程、国民の関心は高い。

あの世界での名前はデルターーであった青年、牧田玲は、その部分が掲載されている一ページだけをプリントアウトした用紙をまじまじと見つめながら、先程から着信が鳴り止まないスマートフォンを耳へと当てた。

着信に応じた途端、耳に当てたスピーカーの部分から、どこか落ち着いた感じがする、若い女性の声がした。

「牧田君、今年の社会教科書の件、見ました?」

「わざわざ電話してこなくてももちろん見たよ、栗原」

着信は昔からの幼馴染で、付き合いは十八才になったを今でも継続している同い年の少女、栗原絵里香(マロン)からのものだった。

『まさかこんなに詳細を濁して掲載されるとは思っていませんでした。もう少し事細かに載せた方が良いと思います』

「無理言うなよ....教科書検定やってるお偉方に言ってこいよ。今頃文科省の会議室でワイワイディスカッション中だろ。親父さんに頼めば入れてくれるんじゃないか?」 

彼女の父親は文部科学省に勤務している。教科書選定に関与しているかどうかは自分には知る由も無いが。

『珍しく冷たいですね…。何かあったのですか?』

「昔の事を思い出してたんだ。ほら、インビジブル・ナイツを結成した時の事を」

『………ユーリさんは今頃どうしているのでしょうか……』

ユーリ。本名ユーリ・マクラーレン。ロシア系イギリス人の少女であり、SAO事件に巻き込まれた数少ない外国人の一人であった。ロングランスを得物とするランサーで、その実力は「攻略組」と呼ばれたトッププレイヤー集団の中でも上位に位置する程であった。普段の会話の所々に英国訛りの英語が入るのが彼女の癖であったのだが、今それを容易に聞ける程、彼女の状態は甘くなかった。彼女、ユーリ・マクラーレンは「未帰還者」という身分にカデコライズされていた。

未だに意識が回復していないSAOプレイヤー、通称「未帰還者」と呼ばれる者たちの発生は、SAO事件が解決され、安堵していた事件関係者を再び恐怖のどん底へと落とすのに十分な衝撃を持っていた。

SAO事件生存者六千人のうち、三百名ほどが事件解決直後から、原因不明の意識根絶。その原因となる手掛かりはひとつも無く、解決の目処は全く立っていない。警察所属であったり、国内トップクラスの実力を持つホワイトハッカー達が原因究明の為、日夜SAOサーバーの解析を行っているらしいが、まだ具体的な結果は
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