第44話 アガットの危機
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side:リィン
アガットさんを中央工房の医務室に運んだ俺たちはベットに眠るアガットさんを心配そうに見つめていた、今は応急処置を受けて眠っているがその顔色は一向に良くならなかった。
「アガットさん……」
その中でもティータは人一倍アガットさんの事を心配していた。自分を庇ってくれた恩人が危険な状態になってしまった事に責任を感じているんだろう、下手に慰めても逆効果だと思った俺は今はそっとしておくことにした。
「ミリアム先生、アガットの様子はどうなの?」
「とりあえず応急処置は施したわ、でもどうやら特殊な神経毒みたいで普通の解毒剤が効かないのよ」
「あ、あの、アガットさんはどうなっちゃうんですか……?」
「相当タフみたいだから何とか持ちこたえているけどこの状態が続けば死に至る危険もあるわ」
「そ、そんな……」
アガットさんの状態は思ったよりも深刻なものみたいだ。
「ごめん、遅くなった」
「あ、ヨシュア……ってあなたは?」
「よう、前は道を教えてくれてありがとうな」
キリカさんに報告をしに行っていたヨシュアさんが戻ってきたが今日の朝に出会った東方風の恰好をした男性も一緒だった。
「キリカさんにアガットさんや黒装束たちの事を報告しにギルドに行ったらジンさんがいたんだ」
「ギルド……って事は同業者なの?」
「自己紹介がまだだったな、俺はジン・ヴァセック、共和国のギルドに所属している」
「あたしはエステルよ、よろしくね。でも何でジンさんも一緒にここに来たの?」
「同業者が倒れたって聞いたんで見舞いに来たんだが……ふむ、どうも事態は深刻のようだな」
「そうなの、実は……」
エステルさんはジンさんにアガットさんの状態を話した。
「ふ〜む、特殊な神経毒か……それなら七耀教会の教区長に相談したらどうだ。あそこには伝統医療の蓄積があるからな、何か力になってくれるかもしれん」
「なら早速行きましょう!」
俺たちはティータとフィーをアガットさんの傍に残してこの街の七耀教会に向かった。
「こんばんわ、教区長さんはいますか?」
「おや、こんな夜更けにどうかしたのかね?」
「実は……」
俺たちはアガットさんが毒で倒れた事情と詳しい症状を教区長さんに伝えた。
「そんなことがあったのか、うむむ……これは困ったことになったな」
「や、やっぱり治すのは難しそうですか?」
「いや、幸いな事に神経毒全般に効果のある薬が七耀協会には伝わっておる。毒を消すのではなく患者の抵抗力を高めて自然治癒を促す薬だ。だが薬を作る材料がちょうど切れてしまっていて作ることが出来ないのだ」
……運が悪いな、薬の材料が切れてしまって
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