暁 〜小説投稿サイト〜
SAO -Across the another world-
ACT.1 The another "Fairy Dance"
一話 労働者の背信
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を送っておくくらいしか、私に出来る事は無かった。
「何だろうな.....これ」
改めて画像を見るのだが、どうにも腑に落ちない。確か画像の場所は、「世界樹」というALOの中でも最重要と言っても過言ではないポイントだ。その世界樹というのは、根から幹、枝まで数千、下手すると数万メートルの高さがある固定オブジェクトであった。聞いた話によれば、この世界樹はあの「浮遊城」を除けば、仮想世界の中では一番大きなオブジェクトであると、友人から聞いていた。地上にある根っこ部分に幹への入り口があり、そこから幹の内部にあるステージに挑める、というマップであった筈だ。大きなオブジェクトの設置はかなり苦労するので、この世界樹の事は覚えている。
だが、枝の上に、こんな少女が入っている様な鳥籠を設置した覚えが無いのだ。マスターアップ後、デバッグモードでバグ探しをした時にも無かったオブジェクトだ。普通、レイアウトに入っていないオブジェクトがフィールド内に設置されていると、プログラムが働き、自動的にそのオブジェクトを排除してくれるシステムになっている筈なのだが、排除されないということは、この鳥籠も少女も、デザイナーかプログラマーがおまけ要素で追加した物なのだろう。それにしても不自然すぎるオブジェクトの配置だった。
「気になるな....」
ここの社員、つまり同僚達に聞くのが一番早いのだろうが、その同僚達は殆ど信用出来ないような奴ばっかりなので、相談する気は無い。学歴こそがステータスとしか言わずに年上年下構わず平社員達をいびり倒し、出世と昇給、そして女の事しか考えていない奴らに言っても、結局流されて終わってしまうだけだ。それなら、仮想世界の地獄を体験した情報通に聞くのが一番だ。
私はそう判断すると、メールアプリを閉じ、段々と迫る始業時間に備え、着々と準備を進めていった。
終業時刻になると、私は上司の室長に何かと理由を付けて残業を回避し、早めに退社する事が出来た。
私にとって、久しぶりの定時退社。今日は金曜日であるが、数年前まで行われていたプレミアムフライデーは今や形骸化し、どの企業も社員に残業を科していた。そんな時勢だから、街を歩いていてもすれ違うのは学生やご老人ばかり。時々、運良く定時退社出来たのであろうサラリーマンが歓喜の顔を見せながら飲み屋に入っていったりする所が見えた。
ニュースや新聞等各メディアはVR技術の発達により、外出する人が少なくなっていると各所で報道していたが、私は本当にそうだとは思えない。今でも東京の各駅は世界トップテンに入るほどの利用者数を誇っているし、私が生まれるずっと前から千葉にあるテーマパークだって安定して利用者数を保っている。VR技術というものはあくまでも拡張された現実であり、切り離す事は難しい
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