猫娘と職場体験編
NO.038 合同職場体験・二日目 出久と洸汰
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ように静かに暮らしていただろう……。
「でも、そんな僕でも一度はヴィランに無個性で立ち向かった事があったんだ」
「立ち向かったって……無個性なのにか?」
「うん……。そのヴィランは動物を無差別に殺して回っていた猟奇殺人犯で、僕もとある猫を助けようとそいつに立ち向かったはいいんだけど、当時はまだ小学生で無個性も相まってあっさりと殺されそうになっちゃったんだ……。でも、殺されようとしていた猫は助けることが出来たんだと僕は重くなる瞼の中で感じていた……。
だって、僕も昔から夢は叶わずともヒーローになりたいって思っていたから……」
「それで、お前はどうなったんだ……」
「うん。結果的には瀕死の重傷を負って死にかけちゃった……僕を治療した人によれば、もう手遅れな状態だったんだって……」
「それじゃ、なんでお前は今こうして普通に生きてんだよ……?」
「救われた、からかな……? その助けた猫に……」
「猫に……?」
「うん。その猫はなにかしらの個性を持っていたみたいで、僕に命を捧げたのかは分からないけど僕はそれで助かったんだ……その猫は代わりに死んじゃったんだけどね」
出久はそこで辛そうに顔を歪める。
自分の代わりに死んでしまったフォウ……。
どうにかできなかったものかと思う出久。
だが、助けられてしまったからには生きないと……。
生きて、証を残さないと……。
「僕はとある事件でこの個性が発動するまでその猫が僕を助けてくれたことなんて微塵も知らなかったんだ。でも、当時の治療してくれた人に会う機会があってその事を知れた……そして、思ったんだ。僕の中でその猫は僕の個性となって今も生きているんだって……。
だからって、洸汰くんの話と合わせるわけじゃないんだけど、それでも思うんだ……。
君の両親は君にもきっとヒーローになってもらいたかったんだって……。思っていたかどうかは分からないけどきっとそう僕は思うんだ。
ウォーターホースは確かに君を残して逝ってしまったかもしれない。でも、そのおかげで守れた命も確かにあると思うんだって……」
「あっ……」
それはいつかマンダレイが洸太に話した言葉と被る内容。
聞かされたわけでもないだろう……だが出久はその同じ内容を洸汰に話す。
「そして、いつか君もきっと出会えるって思うんだ。君にとってのヒーローに……。
僕もとある人に出会うことが出来て、個性も出たばっかりで碌に扱えなかった、そんな僕でもヒーローを目指すことが出来たから……。勇気を与えられたから……。だから必死にそんな人のようになりたいと努力してきた。
だから洸汰くんも一方的にヒーローを嫌わないで……?
君の個性も親から受け継いだ力なんだから……。だから個性の練習をしていたんでしょ?」
そう出久は話しながら洸汰に笑顔
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