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リング
14部分:ファフナーの炎その十三
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ファフナーの炎その十三

「君の名は」
「パルジファル=モンサルヴァートです」
 彼は名乗った。
「一介の闇商人です」
「闇商人か」
 ヴァルターはその言葉を信じようとはしなかった。
「では聞くが何故その一介の闇商人がそこまでの艦隊を持っているのか?」
「気が付いていれば持っていました」
 彼は答えた。
「気が付けば」
「申し訳ありませんが記憶の一部を失っていまして」
「記憶を」
「はい。従って自分が何者かもよくわかってはいないのです。ただこれだけは言えます」
 その声は男のものであった。だが何処か中性的な響きのする声であった。
「私はクリングゾル=フォン=ニーベルングと敵対する者です。そして貴方達の味方です」
「私達の」
「そうです。帝国に反旗を翻す人々の。私もまた帝国と対立している者なのです」
「それでギャールプの艦隊を滅ぼしたのか」
「はい」
 彼は答えた。
「そしてファフナーを倒す方法も持っています」
「ファフナーを」
 その時ヴァルターの脳裏にニュルンベルグのことが思い出された。そのことを思い出すと急に胸が騒ぎはじめた。
「それは本当か」
「はい」
 彼はまた答えた。
「宜しければ。お渡ししますが」
「それは一体何なのだ」
「ミョッルニルです」
 パルジファルは答えた。
「ミョッルニル」
「詳しいお話もさせて頂きますが。そちらにお伺いして宜しいでしょうか」
「ああ、是非共来てくれ」
 自分から来るということは危険はないということだった。ヴァルターはそれを確認してそれを認めた。こうしてヴァルターとパルジファルはザックスの司令室に置いて会見の場を持つことになった。
「どうも」
 シャトルで艦にやって来たパルジファルはまずはヴァルターに挨拶をした。
「貴殿は記憶をなくしているそうだが」
「それは本当のことです」
 パルジファルはそれを認めた。
「自分が何者なのか。まだ完全にはわからないのです」
「そうなのか」
「ただ。少しずつですが記憶は甦っています。ですが」
「何かあるのか」
「思い出すのは。太古からの記憶です。それこそ第一帝国よりも前の時代から」
「よくわからないな。それが本当なのかも」
 ヴァルターにとっては夢のような話ではあった。
「本当のことです。そして今も気が付いたら艦隊の司令官になっていました」
「あの艦隊のか」
「はい。第四帝国も崩壊して。そして闇商人でもありました」
「帝国とは何故敵対しているのか?私の様な理由からではないようだが」
「それもわかりません。気付いた時には自分の艦で戦っていました」
「つまり何もわからないというわけか」
「手許には。その艦隊と数隻のザックス級戦艦がありました」
「ザックス級が」
 ヴァルターは
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