妖魔襲撃
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してッ!?」
瞬時に身をひるがえす。純白の体操着につつまれた豊かなマストが振り子のように左右に揺れる。ブルマから伸びる太腿に力を込め、身体の疼きも忘れて駆け出した。だが、蛸妖怪との距離は離れている。
(ダメっ、間に合わない!)
「あぶないっ、逃げて!」
「こ、琥珀!」
女生徒に蛸足触手が巻きつく寸前、横合いから去ったはずの琥珀が飛び出してきた、琥珀もまた妖しい気配を察知し、引き返してきたのだ。体術こそ姉に劣るものの、霊感のようなものに秀でている。
硬直していた女生徒を突き飛ばし、触手から逃す。だがそのせいで女生徒の身代わりに琥珀自身が醜悪な触手にからめ捕られてしまった。
「ああっ、琥珀!」
「う! くっ、放せ!」
野太い触手が琥珀の腰から首まで螺旋を描いてからみつき、またたく間に中空へと持ち上げられる。
ベリベリベリッ!
触手についている吸盤が白いブラウスを紙のように破る。
「ううっ、このタコっ、よせっ」
暴れる琥珀の両手両脚にも次々と赤黒い触手がからみつき、細い腕が頭上でまとめて拘束され、ズボンの裾から侵入した触手が素足にグルグルと巻きつく。
「ひぁッ!? や、やぁっ……、や、やめろォッ……!」
全身を触手に締められながら、琥珀がうわずった声をあげて腰をふる。足にからみつく触手の先端が男子最大の急所にふれているのだ。
「このっ、琥珀を放せタコ妖怪!」
これでは自力での脱出は不可能だ。大至急助けなければ命があぶない。
たとえ退治忍としての正体が衆目に知られてもかまわない。駆け寄りながら腕に仕込んだ刃を振るおうとする。
だが妖怪は巨体に似合わない俊敏さで身をかわすと琥珀を盾のように突き出した。
「動くな娘、動けばこの小僧を殺すぞ!」
切り裂こうとした手を急停止させる。妖怪に絞られている琥珀の身体がミシミシと音を立ててきしんでいた。
「うグゥゥゥッ!? く、苦しい……」
吸盤でブラウスをビリビリに破いた赤黒い触手の剛力では琥珀の華奢な身体など一瞬でバラバラにできそうだ。
「あうっ、ぐぅぅぅッ! あ、姉上っ、おれのことはいいから早くこいつを……、かはっッ!?」
琥珀の首に巻きつく触手がギュッと締まる。窒息し、真っ赤な顔はみるみる蒼白になっていく。
「黙れ小僧、おまえの他にも人質はいるんだぞ?」
蛸妖怪がじろりと周囲を見回す。すくみ上る少年少女たち。恐怖で完全に委縮して逃げるどころではない。いや、下手に逃げようものなら俊敏な触手にからめ捕られてしまうことだろう。
(くっ、このままじゃ他のみんなも……)
脅しではない。この妖怪は本気だ。
琥珀を殺して他の生徒にも手を出す可能性は高
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