生存戦 2
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にこうして勝っているからには全否定されるいわれはないかと」
「実戦ではそんな小手先の技や狡知は通用しない」
「はぁ、あなたも『実戦』ときますか」
「マキシム主義の掲げる実戦魔術はきさまのケンカ魔術とは大違いだ。学院の間違った教育方針に染まった生徒たちは正しい魔術の使いかたを知らない。きさまは雑魚をたおしていい気になっているお山の大将にすぎん」
「この学院が誤った教育をしているとは思えない。魔術に武の側面があることを否定はしないが、武術が『敵を倒す』ことではなく『生き残る』ことを目的にしているように、魔術もまた――」
堂々巡りの議論は次第に険悪な空気をただよわせはじめた。
こんどはこのふたりが決闘しかねない。つい数ヵ月前に二年二組の担当講師グレン=レーダスと、その生徒であるシスティーナ=フィーベルとの決闘があったばかりである。
生徒と講師の決闘など、そうそうあるものではない。
そして、そう頻繁に起きてはならない。このようなことが頻繁に起きては長幼の序が乱れる。
秋芳とストリックランドの間に割って入った人物がいた。
二年次生一組の担当講師。若くして第五階梯に至った気鋭の俊英ハーレイ=アストレイである。
「グローリー=ストリックランドは学院の方針に異論があり、ここ最近不特定多数の生徒にマキシム主義とやらに裏づけされた武辺教育を教授しているとか。そこまでマキシム主義に熱を入れるのなら、悪魔殺しの実績のあるカモ・アキヨシを相手に、その生徒たちの力を試してみるといい。それも、個人対個人の決闘などよりも、もっと魔術師としての実力を証明できる方法で」
「その方法とは?」
「魔術師としての実力を明確で迅速に証明する戦闘方式。それは決闘でも魔導兵団戦でもない、生存戦だ。戦闘能力、状況判断力、継戦能力――。生存戦は魔術師として武力のすべてを試される。たしか、グローリー=ストリックランド君の愛読書『魔術こそ力』にもそう記述されていなかったかな」
「たしかに、そう書かれています。……なるほど、たしかに生存戦ならばいかなる小手先の技や悪知恵も通用しない。しかしそうなると必然的に集団戦になるわけだが……」
「三週間の準備期間を用意するのでその間に有志を募り、教練するといい。グローリー=ストリックランド直伝のマキシム流戦闘術を」
「こちらはそれでいいとして、カモのほうはどうする。まさかひとりで――」
「俺のほうはひとりでかまわない」
「なんだと!?」
「なにごとも勉強であり、決闘は決闘でためになったが、こうも立て続けだといささか食傷する。ここはひとつ俺に魔術でもの申したい連中を集めて決着をつけようじゃないか」
「生存戦は戦争を想定した対決方式。それをひとりでかまわんとは、きさま戦争をなめているのか」
「ハーレイ先生、生存戦という
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