三十八
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もの思ひ
静けき春の
あかつきは
憂きし心に
侘しさぞ差す
ああしていたら…こうしていたら…無駄な想いに暮れていれば、あっと言う間に夜が明ける…。
薄明かりが射し始めた暁を見ると、何とも虚しく…遣り切れない気持ちになり、私の心にはただ…侘しさだけが射し込んでくるようだ…。
春の夜は
まだ宵ながら
明けぬれば
残れる月に
夢そ散りける
春の夜の夢…儚さをこう例えるように、まだ宵だと思いつつ物思いに浸っていると、あっと言う間に空が白んでしまう…。
唯一、淡く残った月が夜の名残を留めているが…それは虚しいばかり…。
叶わぬ夢は夢…
愚かでも、もしかしたら…と思うことさえ、朝焼けの淡い月のように消えてしまった…。
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