MR編
百五十四話 成長
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と言う共同体を作り、集団としての力と安心を求めて集ったのが自分達なら、その集団における問題は、皆で分け合い、全員で考えて解決していくべきだったのだ。けれどそれを、誰一人として、ちゃんと分かってはいなかった。その点においてのみ言えば、あまりにも、黒猫団は子供にすぎた。
「だから……失敗も、それはキリトだけの所為とか、誰か一人じゃなくて……皆の責任。私達は、みんなであの世界で生きて、みんな、自分たちなりに戦って、でも、失敗しちゃったんだ、って」
「けど、其れは俺の失敗でもある……それに、みんなは……」
「うん、だから……一緒に、みんなのお墓の前で反省しよう?」
「それ、は……」
死者には、もう反省する機会すらもない。それをして、次に生かしていくことが出来るのは生者のみの特権だ。その特権を、あまりにも理不尽な、あまりにも卑怯な方法で自分は得てしまった。そう思っていた。だからどうしようもなく死んでいった彼らに後ろめたくて、申し訳なくて、この感情と、自分は生涯一人で向き合っていくのだろうと思っていた。しかし……
「一緒に反省して、一緒にみんなに謝って……悲しかったら、一緒に泣いて……私達は、生き残れたから……生き残れちゃったから……一緒に、ちゃんと元気に生きてるよって……皆の分も、頑張るねって……伝えたいの……伝えないといけないと……思う。それは、私達じゃないと出来ないから……」
「…………」
答えを、何か答えを返さなければならないと、思う。しかしどう伝えればいいのか、なんと答えるべきなのか、自分はどう答えたいのか……言葉が、咄嗟に出てこない。それを迷って、口を開けては閉めるを、キリトは何度も繰り返す。しかしそのうちに……
「ッ、キリト、前に!」
「!」
サチがキリトの背後、通路の奥を鋭く刺して言った。振り返ると、石室の奥からヒタヒタと不気味な足音を響かせて全身をボロボロの包帯に包んだマミー系のモンスターが数体、ゆっくりと接近してくるのが見えた。
「ごめん、私の声が大きかったから……」
「いや……この位なら問題ないよ。前衛は俺に任せて、サチは詠唱に集中してくれ」
「うん!」
「それと……」
「答えは、この戦闘が終わってからでも良いか?」
「う、うん!」
「よし、じゃあやるぞっ!」
「はいっ!」
二人が構えるのを待っていたかのように、甲高く反響する不気味な唸り声を上げながら、包帯男が突進を開始した。
────
少しは考える時間が出来ればいいと頭の端で考えてしまっていたキリトの思惑とは裏腹に、戦闘そのものは危なげなく終結した。まぁ、今回集まったパーティ全体の中でも最高クラスの魔法火力と、物理火力の持ち主である(こちらについては上がいるが)二人の組み合わせだ。いくら高難易度ダンジョンとはいえ、数体のMo
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