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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十四話 成長
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んま耐性ねーと悪い男に付け込まれんぞ〜?」
「なっ、り、リョウさんが言ったんじゃないですかぁ!」
「へっ、俺は悪い男だからな。……つーか、たとえ話オレが正面切ってお前に「愛してる」とか言ったとかなら未だしも、今みてーな軽口で……だぁからそういうとこだっつーの」
「ぅう……だってぇ……」
何なる冗談交じりの「愛してる」を聞いてまたしても真っ赤になってうつむくシリカに、リョウはため息をつきつつもポンポンと頭を叩いて笑う。

「ま、寝覚めが悪いってのは本当だ、お前も積極的に生き残ろうとしてたしな。そう言う所、気に入ったってのもある」
「あ、ありがとうございます!」
少しだけ目を細めて、自分を見上げる小柄な少女を見る。実際、ピナの事があって以降の彼女は生き残ろうと必死になっていた。聞きたいことがあればいつでも聞いて良いと言った次の日には大量の質問を送ってきたし、あの事件からSAOが終わるまでの半年以上もの間、自己の強化に余念も無かった、言い方は良くないだろうが、自分とピナ、双方の命が失われる寸前まで追い詰められたあの事件は、紛れもなく彼女の生きるための原動力だったと言えるだろう。同時に其れこそが、今日の彼女の強さの根幹を作っている。
そんなエネルギーを持っていた彼女を死なせずに済んだことについては、当時の自分をほめてやりたくなったし、もしその手助けに慣れたとすれば……それは、悪い気はしないなとリョウも思っていた。
まぁ、そんなことを口に出したりはしないのだが。

「しかしお前、ゲームの方の経験積むのもいいが、リアルの方はどうなんだ、そろそろ色恋の一つも覚える時期だろ」
「えっ!?ま、まぁ、それは、私も色々とですね……」
「気を付けろよ〜、素材が良くても、別の事に夢中になりすぎてッと生き遅れるからな」
俺の姉貴みたいに、とため息がちに言ったリョウに、シリカはクスリと吹き出しながらも少し不満そうに言い返した。

「わ、私だって、何時かは誰かのお嫁さんになって見せます!」
「ほぉ?そりゃ、頑張れよ。ま、もうちょい子供っぽいところを直しゃ、お前も多少はいい女になるだろうさ」
「た、多少ってなんですかぁ!」
なんとも微妙な評価に大いに不服と言った様子でシリカが抗議するのを笑って受け流しながら、2人は通路の奥へ奥へと進んでいく。
しかし同時に、リョウは分断された他のメンバーの事も気にかかり始めていた。特に……

「(彼奴は後衛特化だ……孤立すんのは……やべぇよな……)」
シリカに見えない背筋を、冷汗が流れているような感覚がした。

────

「っ、はっ、はっ、はっ……!」
薄暗闇の中を、黒い少女が必死に走っていた。時折振り返る彼女の視線の先、暗がりの奥からは、ガシャがシャとやかましい敵対者の足音が響いている。十分な距離
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