137部分:ヴァルハラの玉座その十八
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ヴァルハラの玉座その十八
「逃げたか」
「もう。追いつけませんな」
「ああ」
ジークフリートはモニターを見上げながらフリードリヒの言葉に頷いた。帝国軍は全速力で戦場から姿を消していた。
「だがこれでかなりの戦力を叩くことができた」
「はい」
「それにこの星系はあの超惑星だけでない。そう易々と脱出することは出来ない」
「出来ませんか」
「言うならばこのギービヒは迷宮だ」
そしてこう言った。
「そう易々と逃れることは出来はしない」
「では後から来る二個艦隊も使って」
「そうだ」
彼は頷く。
「追い詰めていく。逃すなよ」
「わかりました。ではすぐに追撃に向かいましょう」
「よし」
こうして彼等は戦場を離脱した敵軍をさらに追うことになった。次の日にはその二個艦隊も到着し五個艦隊での捜索が開始された。敵が発見されたのはすぐであった。
「第五艦隊から報告です」
「敵か」
「はい。只今ギービヒ外縁のアステロイド帯の前に展開しているとのことです」
「そうか、あそこか」
彼はその報告を聞いて頷いた。何処にいるのかすぐにわかったのだ。
「ではそこに向かうぞ」
「はい」
「まずは第五艦隊に伝えよ。決して見失うなと」
「はい」
部下はその言葉に頷く。
「そして残り三個艦隊にも連絡せよ。それぞれ独自で動き敵の行く手を防げとな。よいな」
「わかりました。それでは」
「ここで敵を完全に粉砕すれば大きい」
ジークフリートは言った。
「戦力だけの問題ではない。敵の戦意に対してもな」
「敵の戦意にも」
「我々には勝てないのではないのか、そう思わせる効果もある」
ジークフリートは心理的な効果も考えていたのだ。戦争はただ戦場で勝つだけではないのだ。
「その為にも」
「兵を進めるのですね」
「そうだ。では行くぞ」
「了解!」
ジークフリートのものも含めた四個艦隊もまたハーゲンの艦隊へ向かう。彼等がそれぞれ帝国軍の残存艦隊を捕捉したのは間も無くであった。
「敵艦隊発見しました」
ジークフリートにも報告が届く。
「敵艦隊はシェンク提督の第五艦隊の追撃を受けながらギービヒから逃走しようとしております」
「速度はどうか」
「アステロイド帯を警戒してか決して速くはありません。我々も追いつくことは可能です」
「よし」
ジークフリートはその報告を聞いて満足げに頷いた。
「ではこのまま進む」
「はい」
「そして敵軍の退路を塞ぐぞ」
「わかりました」
ジークフリートの艦隊はその速度を生かして帝国軍の後方に回り込んだ。見れば他の艦隊もそれに呼応しそれぞれ敵軍を包囲していた。
「敵軍、完全に包囲しました」
「敵の戦意は?」
「今のところ。見られません」
見ればモニターに映る帝
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