新たな高みを目指して
第5話 S級魔道士昇格試験 届け
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―――――遠い、果てしなく、相手は遠い場所に立っているという感覚を覚える。
今オレは、地面で仰向け状態になっていた。別に好きで倒れているのではなく、むしろ倒されたのだ。
最初から、相手をしてもらうときには気づいていたが、相手は次元なんて関係なく、強い。
だからこそ、超えるには打って付けだ
簡単だなんて、思っていなかったし。むしろそのほうがやり甲斐がある。
それでも、これは圧倒的だ。
―――――たった一撃、オレがタイバを加減で一撃で倒した時と同じ様に、オレは彼から一撃で今倒されている。
―――――叶わない、なんて思うのはいつぶりだろうか。
もう、やめてしまおうかなんて今考えてしまう。
だが、それでは親友と妹分、彼らの応援を、信頼を無駄にしちまう
それでいいのか?いや、それではダメだ。
オレは、彼を超えてこの先に行かなければならない。なら―――――
「―――――立ち上がらなきゃ…ダメだよな…」
自分自身に向けての一言、足に力を入れ、ヨロヨロとなるが立ち上がる。
まただ、まだ終わってはならない。新しい一歩を踏み出すのなら―――まだ
「なァ…ギルダーツ―――」
この世界に来てからの目標。超えるべき壁として認識し、マスターの次に最も憧れている最強の男―――ギルダーツ・クライヴに向けて無理矢理笑みを浮かべて話しかける
そんなオレからの返答は、今までのやる気のないギルダーツの表情とは全く違う、鬼神だと見間違う程の魔力の闘気を纏う、男の鋭い目線だけだった―――
◆◆◆◆◆◆
妖精の尻尾のギルドの中では、このギルドでの魔道士たちがそわそわしながら妖精の尻尾の舞台で沈黙しているマスター、マカロフ・ドレアーの次の言葉を待っている
マスターに向けて見る視線は期待、不安、達観、楽しみなどな視線。
そんな視線を前から受け止めているマカロフは只、静かに目を閉じて無言で立っている。
そしてマカロフの一歩後ろで控えているのがこのギルドのS級魔道士。ギルダーツ・クライヴ
ただ、その仕草だけでみんなはドキドキと胸の音が聞こえるぐらいに静寂を守って見ている
そんなギルドの様子を少し離れたところで見ているのは最近、そして前から妖精の尻尾に入った子供たちや事情を知らない者たちがその場を見守っている。というより早く済ませろ、と心の中で唱える人がいるが。
その中で一番うるさいであろう桜髪の少年は鎧の少女の手によって口が塞がっていて、下着以外着けていない少年はその光景を青ざめた顔で見ている
そんなカオスな状況の中、ついにその瞼を開け、そしてギルドを見渡して、言葉をつむぎ出す
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