第九章 伝説のはじまり
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、この番組は出演者や演出の面白さが好きで、よく観ている。
テレビの音声に混じって階段の方から、
「ふんふんふーん」
と、微かな鼻歌が聞こえてきた瞬間、祐一の顔がピクリ痙攣した。
ふーーっ、とため息、条件反射的にげんなり顔になっていた。これが漫画なら、顔に無数の縦線入っているくらいの。
鼻歌が大きくなってきた。
二階から降りてきた妹の敦子が、すーっと滑るように軽やかな足取りで居間へと入ってきた。
ふっふふっふふーん、笑顔鼻歌、祐一の前を行ったりきたり。祐一の膝とテーブルとの、狭い間を強引にスキップで抜けようとして突っ掛かって思い切りコケたり。
この数日、いつもこんな調子である。
尋ねて欲しいのだろう。
聞いてもはぐらかして教えないくせに。
絶対に無視してやる、と思っていた兄であったが、目の前でくるくるくるくる回り出すなど妹のあまりのうっとうしさに忍耐限界、
「機嫌がいいじゃんかよ」
結局、話しかけてしまった。畜生。
「いやあ、普通だよお」
にまあーっ。敦子は、まるで加熱したバターのようにとろける笑みを浮かべた。
「ちょっといいことあったとかあ、そんなこと全然ないよお。だってあたしまだ夢のスタートラインにも立ってないしい」
ふんふん、くるくる、スキップでコケると、ぐおっと勢いよく立ち上がり(兄の視界を完全に塞ぐように)、
「さーて今日もはりきって発声の特訓だああ! まずはキャラ百本ノック! 『なにやってんだよお』を、女子大生でえ、なにやってんだっよーーっ!」
「テレビ観てんだよ! 邪魔だあ!」
怒鳴り声を張り上げながら、妹の頭を容赦なく二度ほど殴り付けると、部屋から叩き出した。
どうせまた三十秒くらいで、何事もなかったようにニヤニヤしながら戻ってくるのだろう。うおーっ、とか部屋の中を小走りしたりして。
ふーー、とため息ひとつ。
三十秒後、祐一の予言は的中した。
4
「魔法女子ほのか」という壮大な物語を完成させるべく、四人は日々集まっては、着々と構想を練り続けていた。
四人、
レンドル 山田定夫。
トゲリン 梨峠健太郎。
八王子 土呂由紀彦。
敦子殿 沢花敦子。
構想の大枠は、もうだいたい固まりつつあった。
まず決定事項としては、大きく次の三つ。
続編構想会議の初期に八王子が提案した、血で血を洗うドロドロ展開で行こうということ。
四人の魔法女子は、異世界しかも既に滅んでいる古代
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