第九章 伝説のはじまり
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ストをうやむやにするという手法があるじゃない? でもさ、そういう終わらせ方を嫌う人も多いんだよね。だから、『視聴者全員の期待に沿う』というのは無理だよね」
「そうでござるなあ」
などと四人が話し合っている間にも、彼らの携帯がぶーっぶーっとひっきりなしに振動し、メールの到着を知らせている。
定夫がなんとなくパソコンの掲示板を更新させてみると、ほんの五分ほどの間に、もう三百件近い書き込みがされていた。
ネット上に、大きな掲示板やコメント欄は一つではなく、また、ほのかを語るはネットのみにあらず。
現在どれだけの人が、「魔法女子ほのか」を語っているのだろうか。
「続きをどういった展開にするか、なんか責任重大な気がしてきたよ」
定夫は、ごくり唾を飲んだ。
「気がする気がしない、ではないでござるよ。続きを作るのであれば、これだけの人がいることをしっかり受け止めて、よりよい作品を作る義務があるでござるよ。ニンニン」
モニターに映る掲示板のメッセージへと、トゲリンは脂肪まみれの手のひらを差し出した。
「な、なんか凄いことになってきましたね。本当に」
「ぼくたちのように、グループとして小さいからこそ可能な、視聴者とキャッチボールが出来るような、そんなものを作れたら最高だよね」
「いやいや、既に半分それだろ。だってネット民たちの反響が、本編を作る原動力だったんだから。……しかし返り見るに、ほんと凄いアニメを作ってしまったんだなあって思うよ。我ながら。いや、我々ながら」
「アニメマニアのアニメマニアによるアニメマニアのためのアニメでござるな」
「そうだね。もちろん一般も歓迎だけど。なんかやる気が出てきたあ! よおし、しっかりプロット固めて、矛盾点も吸収して、後世に残るような凄い作品を作るぞお!」
八王子、すっかりハイテンションであった。
「伝説を作るでござるでばざーる!」
そのハイテンションっぷりを受けて、トゲリンもネチョネチョ声を張り上げ絶叫した。
「ほのか、ウイン!」
敦子が唐突に右腕を突き上げた。ほのかの勝利ポーズだ。
「あたしの、生涯の代表作です!」
「ウイン!」
八王子とトゲリンが同時にズバッと、ちょっと遅れて慌てたように定夫も腕を突き上げ、敦子と腕を並べた。
「ほのかあ、ウインッ!」
三銃士とダルタニャンの大声が、むさ苦しいオタ部屋にバリバリ轟くのだった。
3
ある晴れた日の晩。
まあ家の中なので天気はあまり関係ないが、沢花祐一は家の居間でソファに腰掛けのんびりテレビを観ていた。
アニメではない。健康情報バラエティだ。
彼は別に健康オタクというわけではないが
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