第九章 伝説のはじまり
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血と汗、涙が、すべて台無しになってしまう気がして。
「ま、そうだよね。ワクワクしたかったから、作品を作ったんだもんね」
「ワクワクどころじゃないです! あたしは途中からの参加ですけど、自分たちの作ったものがテレビアニメになるんだから、こんな素敵なことはないですよ。普通の高校生には、そうそう出来ない体験です」
敦子は、ふふっと満足げに笑った。
「ある意味、五十万は悪くないでござるよ。自主制作アニメをブルーレイ販売しようものなら、流通経路の確保に相当な投資が必要になり、運がよくても儲けは些細、下手をすれば大損でござるからな。ネットに投稿というだけならば、コストはサーバーレンタル代だけであるため、有料アクセスにすれば幾らかの儲けは出るかも知れないが、視聴者がぐっと減ること間違いない」
「観てもらえなきゃ、なんのために作ったのか分からないからな。テレビアニメならば、観たい人はみんなが観ることが出来る。ということは、テレビアニメ化でみんなが観てくれる上に、こっちからお金を払うどころか逆に五十万円も貰えるんだから、トゲリンのいう通り悪くない話ということだよな」
「そうだね」
八王子が頷く。
「で、お金をどう分配するかなんだが。アニさくとUSBマイクで四十万円近くかかっているから、これを必要経費ってことでそこから払って、残りの十万を四分割ってことでいいと思うんだが。少し余るけど、それは祝テレビ化の打ち上げに使うってことで」
「うん。いいんじゃない、それで」
快諾する八王子とトゲリンであるが、
「いえいえいえっ、いただけませんっ! どうか三人で分けて下さい。あたし、なんにもしてないですからっ! 参加させて貰えただけで充分に満足なんです!」
と猛烈に拒絶しまくるのは敦子殿である。両手と首とをぶんぶん振って足元バタバタさせて、まるで滑稽なダンスを踊っているかのようであるが。
「なんにもしてないことないだろ。そもそも敦子殿の声がなかったら、ここまでの作品にはならなかったんだから。おれたちに声のトレーニングだってしてくれたし、エンディングだって歌ってくれた」
敦子に対して、なんだかかっこつけた台詞をぺらぺら吐いている定夫。
ほんの数ヶ月前まで、じょ女子イイィヒィなどと泥まみれで砂場を這っていたのが嘘のようである。
「でも……」
と、なおも渋る敦子に八王子が、
「生涯の代表作、って自分でいっていたじゃんか。その代表作で、プロアマ関係なく声優人生初の報酬をゲット、ってことでなんの問題もないんじゃない?」
その言葉に少し考え込む敦子であったが、やがて、申し訳なさそうに微笑んで、
「そう考えると、いただかなきゃならないのかなって気持ちになってきました」
「よし。じゃあ報酬分
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