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蒼穹のカンヘル
二十五枚目
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俺が"黒歌"という名前を知っている筈はないというのに!

「え、えーと、あ、アザゼルから聞いた事があってな。
彼女は仙術を使う猫又の一人なんだ。
そ、そこそこ有名だぞ!」

ヤバイ、ヴァーリが無表情だ…。

「へー…」

な、納得してくれたかな…?

「よし、じゃぁ黒歌を助けに行こう」

「は?」

ひぃ!?

「なんで助けに行くの?ねぇなんで?」

「え?あ、いや、その、だって明らかにヤバそうじゃん?」

「なんでその黒歌さんの方を助けるの?
後ろの悪魔を手伝うんじゃなくて?」

「いや、そのぉ…こういう時って大抵女の方を助けない?」

「そう…じゃぁ好きにしたらいいじゃん!」

えぇぇ…?なんかヴァーリが怒ってるんだけど…?

「え、えーと、ヴァーリ?」

「なに?そんなにおっきい胸が好きなら早く助けに行けばいいと思うよ」

………そこぉ!?

「あー、いや、待て、ヴァーリ。お前は勘違いしている。
別に黒歌の胸が大きいから助けに行く訳じゃないぞ」

「ふーん」

はぁ…ダメだこりゃ…

そう思っていると、モニターから爆音が聞こえた。

「悪いヴァーリ!戻って来たら理由を話すから!」

「え!?篝!?」

悪いけど!今は時間がない!

「カンヘル!」

手の中に、純銀の錫杖が現れる。

【ロスト】

黒歌達が戦闘している真上に転移。

「静まれ!」

両者の間にエネルギー弾を撃ち込む。

黒歌も、追手も足を止めた。

そして、エネルギー弾で出来たクレーターの底に降り立つ。

「貴様等は我が領地に無断で侵入している。
即座に立ち去れ。さもなくば死ね」

と形だけの警告をする。

奴等は悪者の筈だが、一応儀礼的に警告する義務がある。

「なぜ天使がここにいる!」

と追手の先頭にいた悪魔が叫ぶ。

悪魔と堕天使の翼を展開し、五対十枚の翼を顕現させる。

「俺は篝!魔王セラフォルー・レヴィアタンのクイーンだ!」

すると先頭の悪魔は口元を歪め…

「セラフォルー・レヴィアタンにクイーンは居ない!奴は敵だ!クロカより先に奴を落とせ!」

はぁ…

「返答は受け取った。では死ね」

敵がそれぞれ攻撃を仕掛けてくる。

【ウォール】

しかしそれらは全て時空の歪みに飲まれ、俺には一つとして届かない。

「俺のターンだ」

手を上に掲げ、ワームスフィアを円盤状にする。

「行け」

虚無の円盤は、俺の思い通りの軌道を通り、奴等を真っ二つにした。

クレーターの底から飛び上がり、奴等の元まで歩く。

「へぇ?まだ生きているか。悪魔は頑丈だなぁ…」

「き、
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