13部分:ファフナーの炎その十二
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ファフナーの炎その十二
「ここにいる戦闘部隊は我等と帝国軍のものだけの筈だ。それが何故」
「ですが実際に戦闘中です。帝国軍の艦隊が押されています」
「彼等が」
「圧倒的な状況です。最早彼等に勝ち目はありません」
「そんなに強いのか」
「はい。宜しければこちらに来られますか」
「うむ。全艦隊マグダレーネの外側にまで行くぞ」
「ハッ」
皆ヴァルターの言葉に頷いた。こうしてヴァルターの軍はマグダレーネの外縁に向かった。
そこでは今まさに帝国軍の艦隊が殲滅されようとしていた。包囲捕捉され今無残に殲滅されていた。戦いが謎の軍の勝利に終わるのは誰の目にも明らかであった。
「帝国軍消滅しました」
ヴァルターにその報告が入った。
「一隻も残ってはおりません。ギャールプは戦死した模様です」
「信じられん」
ヴァルターはそれを聞いて一言こう呟いた。
「あれだけの大艦隊をいとも簡単に。しかも数も多い」
「彼等は一体何者でしょうか」
「わからん。若しかすると敵かも知れん」
「敵」
「帝国と敵対しているからといって我等の味方とは限らないということだ」
ヴァルターはこう述べて全軍に戦闘態勢に入るように指示を下した。
「全艦戦闘用意」
「はっ」
今まさに入ろうとしたこの時であった。突如としてモニターが開いた。
「ぬっ!?」
「あちらの艦隊からです」
部下から報告が入った。そしてモニターに一人の男が姿を現わした。
「はじめまして、シュトルツィング執政官」
「私を知っているようだな」
「はい」
男はそれに応えた。金属製の鎧の様な服にその全身を包んでおり顔はよくわからなかった。だがその兜の様な帽子から溢れ出ている黄色の長い髪が印象的であった。少なくともヴァルターは彼を見たのははじめてであった。
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