第42話 妖精の想いと絶剣の苦悩
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あと少しで終わってしまうんだ……」
「……ヨシュアさん?」
微笑みを浮かべていたヨシュアだが旅が終わってしまうと言うと表情が少し沈んでしまった。何事かと思いリィンが声をかけた。
「ヨシュアさん、もしかしてのぼせてしまったんですか?」
「ああ、ごめん。そうじゃないんだ、唯ね……」
「唯……なんですか」
「最近おかしな夢を見るんだ。僕がエステルを手にかけてしまう夢を……」
「それは……」
思った以上に重い内容にリィンは口を閉ざしてしまった。
「ごめんね、変な事を話したりして……」
「いえ、気にしないでください……その、いつからなんですか?」
「……最初に見たのはルーアンでダルモア市長を捕らえた件から数日がたった夜だったんだ。思わず声を荒げてしまってエステルに心配をかけてしまった、それから徐々にその夢を見る頻度が増えてきたんだ。しかもエステルだけじゃなくシェラさんやオリビエさん、クローゼにフィル……そして君を手にかけていた……どんどん増えていったんだ」
「……」
「流石に応えたよ。前に君はエステルを信じてといった、でもエステルがどれだけ僕を信じてくれても僕が裏切ってしまうんじゃないかと思うと怖くて仕方ないんだ……」
「ヨシュアさん……」
ヨシュアは小さく震えていた。自らの記憶がないから自分が何者なのか分からない、そんなときに自分が親しい人を手にかける夢など見れば精神的に参るのは当然の事だ。
「……俺はヨシュアさんの気持ちが分かります」
「えっ?」
「前にヨシュアさんと話した時は言わなかったんですが俺も孤児なんです。3歳くらいの時に義父に拾われたんですがそれ以前の記憶は全くないんです」
「リート君も……」
「それに俺は体の中に恐ろしいモノを宿しているんです。俺もよく分からないんですが強い怒りを感じると見境なく暴れだしてしまう爆弾のようなものなんです。しかもそれが最近漏れ出してくるようになっていつ暴走しちゃうかも分からないんですよ……あはは、俺の方がよっぽど危険ですよね」
リィンは自虐するように笑うがヨシュアは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめん、リート君。僕が変な事を話してしまったせいで君にまで嫌な事を話させてしまった……」
「いいんです。ヨシュアさんのせいじゃありませんから……」
その後は会話が無くなってしまい暫くの間、静寂が二人を包むがふとヨシュアがリィンに話しかけた。
「……ねえ、リート君。ここの温泉には露天風呂もあるらしいんだ。行ってみないかい?」
「……いいですね。俺、ちょっと興味があったんですよ」
重くなった場の空気を変えようとヨシュアがリィンを露天風呂に誘った。リィンも重苦しい雰囲気をどうにかしたか
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