第10話 初対面
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が強引に連れ去ろうとしている筈だが、聞こえてきた。
瞬きすら許されない一瞬の間に、その声ははっきりと聞こえてきて――そして、次の瞬間には、自分の間に誰かが割って入るのがハッキリと判った。まるでスローモーションだ。その人物はDDと自分自身の間に入ると、一振りの剣を取り出し、突進してくるDDの巨大な拳に刃を当てた。
がきぃぃん、と言う凡そ生身と刃のぶつかり合いとは思えない様な衝撃音が轟き、あの巨体の突進が完全に停止していた。
「…………は?」
「ここまで登ってきて、ご苦労な事、だが―――。悪いな。また振り出しに戻れ」
DD自身も何が起きたのか判っていないのだろう。
無敵結界がある筈なのに、その刃は確実にDDの身体に傷を作り、その次に あろう事かDDの巨体を掴み上げ、まるで背負い投げでもするかの様に…… いや、違う。放り捨てるかの様に、この崖から落とした。
あのDDが叫ぶことを忘れている様だ。何が起きたか判らない、と言わんばかりの表情のまま、DDは落下し 最後には見えなくなった。
「全く。騒々しさにかけては右に出る者はおらぬな、あの魔人は」
手をぽんぽん、と払ってのける人物。魔人を軽くいなしたこの光景。どう、表現すれば良いか一瞬アームズは判らなかったが。くるり男が向き直り、その顔を見た。視た事のない男だった。赤みが掛かった茶色で長めの髪。どちらかと言えばJAPAN風な容姿の男。
「さて、お前達。随分大変だった様だ。大丈夫か?」
そして、手を差し出される。
この手を取って良いものかどうか……、いや 今目の前で起きた事が現実なのか、虚構なのか、幻覚の類を掛けられているのか、判らないが。
「え……、あ、あなたは?」
「お、おい エールぅぅーー!! あ、危ないってばぁぁぁ!」
「待つだすーー!」
ロッキーと共に逃げていた筈のエールがいつの間にか、この場に戻ってきていた。
アームズが聞こえた声はエールので間違いない様だ。そして、今目の前で起きている事が少なくとも、現実である事は理解できた。そして、次は幻覚であるか、どうかだが……。
「む? 私が判らないか……? アームズ。っと、ああ。そうであったな」
思わず顔を抑える。その行動の意味が判らないアームズだったが、直ぐに判る事になる。
「お前は……… まさか――――」
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