第10話 初対面
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キーはガックリと肩を落としていた。
サテラは、一先ず頭が冷えた様で。
「お前ら、命拾いしたな。見逃してやるからとっとと帰れ。……次来たら、次名前出したら、本当に殺すぞ。……後、貴様、えーる……だったか?」
サテラは、エールの方を見た。
じ……とその顔を見る。今はいない、彼の顔を思い浮かべながら。
「……あの女の面影は、ある。……だけど、…………じぃぃぃぃ」
認めたくない気持ちがあまりにも強過ぎるのか、サテラは穴が開く程見つめた後に。
「ぜんっぜん、まったく、@ミリも似てない! お前の情報ガセだろ、絶対!! そこらへんのガキを連れてきただけだろうが! またそんな与太話しようものなら……殺すッ!!」
そう言い捨てて去って言った。
最後こそは毒気抜かれた気分だが、ある意味助かったかもしれない。魔王の圧倒的な圧力を目の当たりにしたばかりだったから。
「…………」
だが、絶対的な死を間近で感じた事実は変わらない為、暫く動く事が出来なかった。
その緊張を解いたのは アームズだった。近くの岩にどっかりと腰を下ろす。
「ふぅ……。魔王ランス、か…… やはり5年後。あまり良くない状態の様だ……。もうかなり魔王に近づいている、という事だろう」
その一言で、ロッキーは弾かれた様に動き、今度はエールの所で土下座をした。
「う、うう…… すみませんだ、エール様ッ!! お、オラ、こんなことになるとは思ってなくて……、エール様を…… ユーリさんの御子息を……」
「ロッキー、もういい」
只管に、額を地に擦りつけ謝るロッキーをアームズが肩に手を置いて制した。
「ここは運よく見逃してもらえたんだ。お情けにあずかろうじゃないか。……それとも、あれを見てまだ立ち向かうか?」
「…………ぼ、ボクは……」
エールはただ考える。
震え続ける身体は多少は良くなったが、それでもまだ残っている。恐怖が、身体の芯に残っている。そして、思い返すのは母の言葉だ。
『貴方は世界を救った英雄の1人。ユーリ・ローランドの子供なのです』
『英雄の血を継ぐ貴方であれば、魔王くらいイチコロです』
確かに、ユーリ・ローランドの話は、自分が子である、という事実を除けば、幾度となく訊いてきた。現魔王が人間だった時代に、共に世界を救ったと。例え強大なモンスターにも、たとえ国家にも、たとえ魔人にも……決して臆する事無く、全てを打倒してきた伝説の英雄。
「本当に自分はユーリの様になれるのか、とでも考えているんじゃないか?」
「っ……!」
エールの考えを読んだかの様にアームズがエールの前に立ってそう聞いた。そして言葉に詰まる。
「ふむ。確かにエール。君があのユーリの子であるので
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