129部分:ヴァルハラの玉座その十
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ヴァルハラの玉座その十
「ラインゴールドにいる帝国軍の規模がわかりました」
クプファーはノートゥングのモニターに姿を現わしていた。そこからジークフリートに直接報告を行っていたのである。
「どれだけの規模だ?」
ジークフリートもまたノートゥングの艦橋にいた。そこでその報告を聞いていた。
「十二個艦隊です。それで以って我々とオフターディンゲン公爵にあたるつもりの様です」
「十二個艦隊か」
ジークフリートはその艦隊の規模を聞いて少し考える顔になった。
「方面軍にしては多めだな」
「そう思われますか」
「またどうしてなのだ、それは」
「そこまではまだわかっておりません。申し訳ありませんが」
「そうか」
「そして今は十個艦隊となっております」
「先のチューリンゲンの戦いで一個艦隊が壊滅しているな」
「はい」
「そしてもう一個は。どうしたのだ」
「オフターディンゲン公爵が兵を挙げられまして」
「そうか、やはりな」
これは予想していた。だから驚くには値しなかった。
「公爵の軍との戦いでまた一個壊滅しております。結果として十個艦隊となっております」
「ふむ」
「そしてそのうちの半数をこちらに向けて来るものと思われます」
「五個艦隊をか」
「そのうち先遣であると思われる二個艦隊がこちらに向かって来ております」
「二個艦隊がか」
「はい」
クプファーは報告を終えて頷いた。
「これに関してはどうされますか」
「今から私もそちらに向かおう」
「首領も」
「そうだ。そちらの艦隊だけでは荷が重いだろう」
「否定はしません」
クプファーの艦隊は情報収集に重点を置いたものである。だから二個艦隊を相手にして戦えるものではないのだ。そして今ロストクを失うわけにはいかなかった。ジークフリートはそうしたことを踏まえてすぐに判断を下したのである。
「今から我々はすぐにロストクへ向かう」
「はっ」
「そして帝国軍の先遣隊を叩く。よいな」
「わかりました。では」
すぐにジークフリートが直率する艦隊は動きを開始した。ロストクへ向かう。
残る一個艦隊にはこれまで通り星系の占領を命じる。そして同時に頃合を見て新たな艦隊をもうけることも忘れてはいなかった。彼はこれからの戦略もその頭の中に描いていたのであった。
ロストクに辿り着く。まだ帝国軍は来ていなかった。
「お待ちしておりました」
「いや、堅苦しい挨拶はいい」
出迎えるクプファーにこう返す。
「私達は海賊だ。その様なことは似合わない」
彼は常々こう言っていた。だがクプファーは形式ばった男でありこうしたことにやけに五月蝿いのであった。
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