121部分:ヴァルハラの玉座その二
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ヴァルハラの玉座その二
第四帝国では階級においては元帥が務めるものであった。言うまでもなく軍の最高幹部である。
「それを幾ら優れているとはいえ得体の知れない男が務めていたというのも。不思議な話だ」
「かってヴァルハラドライブの実験中に一人生還した将校だったそうですが」
「そしてそれから急激に出世を果たしたのだったな」
「はい。彼に関して今の時点でわかっているのはそれだけです」
「本拠地すらもわかっていない」
「わかっているのは強大な軍と兵器を持っていることだけです」
「ファフナーのことだな」
バイロイトを完全に破壊した黒き竜のことである。
「その武力によってあの男はこのノルン銀河を統べようとしている。それもわかってはいるが」
「それ以外は全て。謎に包まれたままですね」
「クリングゾル=フォン=ニーベルング」
ジークフリートは彼の名を口にした。
「何者なのか。それすらもわからないとはな」
彼は虚空を見据えていた。暫くしてそこから離れ司令室に向かった。
「首領、どちらへ」
「今後の方針を決めた」
彼は呼び止める形になったポネルに対してこう述べた。
「今後ですか」
「そうだ、全軍出撃用意を整えよ」
「全軍」
「これより我々はチューリンゲンに向かう」
彼は言った。
「そしてそこの帝国軍に対して攻撃を仕掛ける。よいな」
「は、はあ」
「戸惑っている時間はないぞ」
そしてポネルに対してこう述べた。
「おそらく彼等の動きは速い」
「はい」
「それに間に合わせなければいけない。そして」
「そして?」
「帝国の目的は何か。見極めてやる」
こうして彼は司令室において全軍に出撃を指示した。そしてシュヴァルツバルトを経ったのであった。
ワルキューレは全軍を挙げてチューリンゲンに向かう。その数は艦隊にして一個艦隊であった。
その先頭に彼はいた。ある商人から送られた一隻の戦艦である。
その名はノートゥング。何でもこの銀河に七隻しかないうちの一隻であるという。
彼は今それに乗っていた。その艦橋においてこの艦を手に入れた時を思い出していた。
一人の男がシュヴァルツバルトを訪れてきた。黄色の髪に重厚な鎧を思わせる服を着ていた。そして兜に似た帽子によりその目は見えなかった。だが只ならぬ雰囲気は感じていた。
「卿は」
ジークフリートはいきなり来訪してきたその男に問うた。
「一体何者だ」
「私はモンサルヴァートと申します」
男は名乗った。
「モンサルヴァート」
「はい。パルジファル=モンサルヴァート。それが私の名です」
「モンサルヴァート。まさか」
ジークフリートはその名に聞き覚えがあった。
「まさか。あの武器商人の」
「確かに私は武器商人です」
パルジファ
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