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正統派パラドル
第五章
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「つてを使ってまでして決めた企画だ」
「つて、ですか」
「あそこのテレビ局と北朝鮮のな」
「北朝鮮につてがあるって」
「そこは考えなくていいからな」 
 あまりにも悪名高い国家との関係についてはというのだ、マスコミや知識人ではよくあることかも知れないが。
「とにかくだ」
「今度は北朝鮮ですか」
「行ってもらえるか」
「何か今度が一番危ないですね」
「ははは、拉致されるかもな」
「それ本気で心配してますから」
 実際にそうなっている光だった。
「あそこやってたじゃないですか」
「あるキャスターはしていないと思っていると言っていたがな」
「してましたし」
 その拉致、国家単位での犯罪行為をだ。
「そのキャスター大間違いじゃないですか」
「今も堂々とテレビに出て発言しているがな」
「それは恥知らずですよ」
「君も知っている鳥乞春太郎さんだがな」
「あのセクハラやら都知事選の」
「あの人だ」
「ここだけの話で私あの人大嫌いです」
 何度か会ってそのテレビの前では見せない傲慢さとセクハラを見てのことだ。他にもそうしたキャスターが何人かいる。
「あんな人が言うことは」
「安心しろ、僕もここだけの話だがあの人は嫌いだ」
「そうなんですね」
「それで話を戻すがだ」
「拉致されますよね」
「下手したらな、どうだ行きたいかい?」
「さっきも申し上げましたが遠慮します」
 光は今度ばかりはと返した。
「そうします」
「そうか、じゃあそれが嫌ならな」
「他のところですか」
「シベリアに行ってもらうことになる」
 かつて帝政ロシアやソ連が流刑地としていたあの広大かつ寒冷な地域である、スターリン時代が特に有名か。
「そうなるが」
「シベリア、ですか」
「マンモスを探してもらいに行く」
「マンモスって絶滅していますよ」
「絶滅していないという話がある」
 目撃例があるというのだ。
「だからそのマンモスを探しに行ってもらうぞ」
「シベリアでって」
「そうだ、どっちがいい」
 明るく笑って言う八条だった、光はこの時は答えられなかった。だが美奈子ともどちらにすべきか話している最中にだ。
 どちらに行くかが事務所の都合で決まった、そして光はその仕事先に入ってから今回も一緒にいる美奈子に言った。
「正直ここでよかったです」
「最悪よりはっていうのね」
「はい、うちの事務所が経営グループごとあの国と仲が悪くて」
「八条事務所って八条グループの企業だからね」
 全世界に展開している世界屈指の企業グループである、その経営規模はマイクロソフトさえ遥かに及ばないと言われている。
「資本主義だから」
「あそこ共産主義ですよね、確か」
「そう言っていいかどうかはね」
「別にしても」
「世襲制の共産
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