第三章
[8]前話
「そうか、あの時のじゃな」
「うむ、学んだことをな」
まさにとだ、板垣は後藤に笑って話した。
「そのまましたな」
「そうなるな」
「全く、あの時はな」
「ははは、二人共お互いにであったな」
「えらいことになったわ」
実にというのだった。
「蝦蟇の油を身体に塗ると川の中でも息が出来るとかな」
「そう聞いておったが」
「鏡川の中は苦しかったのう」
「息が出来なかったわ」
幼いその時のことを話すのだった。
「とてもな」
「そうだったな、それでな」
「あの時からだな」
「わしはああした迷信は信じなくなった」
こう後藤に話した。
「まずやってみてそうしてな」
「実際にどうなるかをじゃな」
「確かめる様になった、それでじゃ」
「神田でもか」
「まずはわしがしてみてな」
「村の者達を安心させたか」
後藤は板垣に笑って応えた。
「そうしたか」
「そういうことだ、そしてな」
「そして。どうした?」
「鰻も梅干も美味かったぞ」
その食い合わせで食ったものの話もした。
「それで天麩羅も西瓜もな」
「どれもか」
「うむ、美味かった」
味の話もするのだった。
「実にな」
「ははは、美味い思いをしてか」
「よい思いをしたわ」
後藤にこうも話した。
「あの時はな」
「そうか、それは何よりだったな」
「村の者達も今では美味く食っておるだろうな」
食い合わせを気にせずにそうしたものをというのだ、こう言ってだった。
板垣は後藤と楽しく飲んだ、その肴は鰻と天麩羅と梅で酒の後は西瓜が出たが二人共後で腹を壊すことはなかった。
食い合わせ 完
2018・1・18
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