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12部分:ファフナーの炎その十一

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ファフナーの炎その十一

「敵の司令官の一人であるギャールプですが」
 次席参謀であるモーザーが報告していた。
「今その艦隊と共にマグダレーネ星系におります。その数百隻以上」
「流石に多いな」
「二個艦隊を組み合わせて一個にしたもののようです。あと補助戦力として一個艦隊を援軍に迎えたようです」
「実質には三個艦隊か」
「はい。今の帝国軍辺境方面軍の主力です」
 モーザーはまた述べた。
「この艦隊で以って我々に対抗するつもりのようです。既にマグダレーネに集結し戦闘準備に取り掛かっているようです」
「ということは既に我々の位置を掴んでいるということか」
「いえ、それはないようです」
 だが彼はそれを否定した。
「では何故進もうというのだ?」
 ルシャナは問うた。
「それはわかりませんが。ただやけに慌しく戦闘準備に入っているようです」
「ふむ」
「どういうわけか迎撃態勢を整えております」
「迎撃態勢を」
「はい。我等の位置を掴んでいても迎撃というのは」
「有り得ないな。どういうことだ」
 今ヴァルターの艦隊はマグダレーネからは離れている。敵の三個艦隊を各個撃破しているうちにマグダレーネから離れた場所に移動してしまっていたのだ。
「何かあるのでしょうか」
「それはわからない。だがマグダレーネには向かうぞ」
「はい」
 ヴァルターは三個艦隊を率いてマグダレーネに向かった。少数の艦隊を大艦隊で各個撃破してきた為その数は殆ど減ってはいなかった。補給を済ませ万全の状況でマグダレーネに向かった。
 マグダレーネに向かうとまずはその静かさに驚いた。帝国軍の気配が何処にもないのだ。
「レーダーに反応はあるか」
「いえ」
 レーダーは何も語らなかった。
「偵察部隊からの報告は」
「妙です。敵影は何処にもないとのことです」
「馬鹿な、そんな筈がない」
 ヴァルターはそれを聞いてまずそれを否定した。
「ここには敵の大艦隊がいる筈だ。それで敵影が一つも見当たらないとは」
「ですが本当です」
 別の部下が答えた。
「何も見当たらないのです。このマグダレーネに」
「どういうことだ」
 いぶかしんだその時であった。偵察部隊のうちの一つから報告があった。
「司令」
「いたか」
「はい。いることにはいましたが」
 その部隊の指揮官が口ごもりながら応えた。
「ですが」
「何かあったのか」
「はい」
「そして彼等は今何処にいる」
「マグダレーネの外側です。今戦闘中です」
「戦闘中!?馬鹿な」
 ヴァルターは最初にそれを聞いた時それを信じようとはしなかった。

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