第二章
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「それをしているだけですね」
「それで企業は利益を得てね」
「俺達も給料を貰えて生活が出来る」
「それだけのことだよ」
「それが何で侵略なんですか?俺戦後生まれですが」
「俺は戦争中に生まれたよ、親父はそれから戦争に行って右手の指二本なくして帰ってきた」
「そうだったんですか、まあとにかくですね」
あらためて話した田中だった。
「戦争があれですよね」
「侵略だな」
「経済侵略って何なんですか」
彼等が掲げ江いるでかい看板を見ての言葉だ、言葉としても出している。
「マルクスの言うあれなのはわかっても」
「現実としてはな」
「はい、違いますよね」
首を傾げさせて言う田中だった。
「現実は」
「会社にいるとわかるな」
「あの、あの連中国立大学ですよね」
「京大だよ」
「京大って国立の中でも凄い大学じゃないですか」
それこそ頭がいいという者しか入られない様なというのだ。
「何か東大のことはテレビでよく観ますが」
「あんな調子だな」
「はい、それでも何でそんなことがわからないんですか」
「だからあれだろ、マルクスとかレーニン読んでな」
「ああなるんですか」
「そうだろ、御前マルクス読んでたか?」
「経済学部でしたけどマルクスの講義受けてないんで」
それでとだ、田中は荒岩に答えた。
「マルクの影響は受けてないです」
「八条大だったな、御前」
「主任もですよね」
「俺は社会学部だったけれどな」
「それでもですね」
「マルクスは読んだけれどあまりな」
こんどは荒岩が首を傾げさせて言った、二人共信号待ちでずっと京大の前にいる。京都は碁盤目の街並みなので十字路が多く信号も多く設けられていてのことだ。
「その通りになるかと思ってな」
「入ってないですか」
「ああ、スターリンの話も聞いたしな」
「随分滅茶苦茶やってたんですね」
「楽園になんてなるか、簡単にな」
共産主義者達が言う様なだ。
「そう思うとな」
「連中の言うことはですか」
「どうかって思うさ、そもそもあの連中平和だ民主主義だのって言ってるだろ」
「はい、今も」
口で確かに言っている、それは田中も聞いている。
「言ってますね」
「そうだな、しかし見てみるんだ」
「連中の何処が平和か」
「そう見えるか?」
「いえ、とても」
ゲバ棒を持って喚いている、その様子はどう見ても暴力的だ。
「革命だとか言ってますし」
「革命起こったらどうなるかわかるな」
「沢山の人が死にますね」
「そうだろ、粛清だってあるしな」
「フランス革命でもロシア革命でもそうでしたね」
「何処が平和なんだ、あと連中が他人の意見聞く様には見えないだろ」
「何か言ったらそれこそ」
暴動の様に騒ぐ彼等を見てだ、田中もわかった。
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