第七章
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「何でそんな国がいいんだよ」
「日本の方がずっとましだろ」
「そんなに北朝鮮とあそこの将軍様が好きなら北朝鮮行けよ」
「そしてもう二度と帰って来るな」
「北朝鮮に行ってしまえよ」
「誰も困らないからな」
誰も彼を肯定しなかった、それで定年を迎えても誰も彼に笑顔を向けることはなかった。しかし村本は教師でなくなってもだった。
あくまで北朝鮮を賛美し続けた、すると彼の家族も去ってしまって幼い頃は彼に懐いていた孫娘もだった。
家で祖父についてだ、軽蔑しきった声で両親に言った。
「あんな馬鹿さっさと死ねばいいのにね」
「北朝鮮ばかり賛美してるからか」
「それでなのね」
「そうよ、世襲制の共産主義がいいとかね」
それこそというのだった。
「馬鹿でしょ、それも尋常でない」
「お祖父ちゃんはずっとああなのよ」
村本の娘である母が娘に話した。父親は黙って聞いているだけだ。彼は村本とは直接血がつながっていないので発言を避けたのだ。
「もうね」
「北朝鮮大好きなの」
「それで日本の皇室は大嫌いなの」
「皇室の方々の何が悪いのよ」
孫娘は逆に言った。
「そもそも」
「あんたはそう言うけれどね」
「あの馬鹿はなのね」
馬鹿という言葉には完全な嫌悪と軽蔑があった。
「そうしたこと言ってるの」
「ずっとね」
「ずっと馬鹿なのね、つまり」
孫娘は祖父をそうした者だと考えた。
「そうなのね」
「ええ、そうなるわね」
母も否定しなかった。
「やっぱりね」
「学校の先生ってああいうの多いけれど」
「あの人はまた特別なの」
「特別馬鹿ってことね、もう馬鹿過ぎてどうしようもないから」
それでとだ、嫌悪と軽蔑に満ちた声で言う孫娘だった。
「さっさと死ねばいいのに」
「もう誰も相手にしていないしね」
「生きてても無駄というか馬鹿ばかり言って害にしかなってないから」
村本は孫娘にこうまで言われていた、しかし彼はそのことを知らなかった。ただひたすら今までと変わらないことを言っているだけであった。共和制万歳北朝鮮万歳天皇制反対と。
共和制 完
2018・1・15
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