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共和制
第三章

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「あの国みたいにならないと駄目だ」
「そうですか」
「北朝鮮みたいにですか」
「日本もならないと駄目ですか」
「そうなんですね」
「そうだ、皇室も丼線資本家も消し去ってな」
 そのうえでというのだ。
「日本も北朝鮮みたいにならないとな」
「絶対に」
「そうなんですね」
「そうだ」
 彼は北朝鮮についてはこう言った、そしてだった。その国家元首についても絶賛しきっていたのだが。
 ある日衝撃的なニュースが走ったそのニュースはというと。
「息子に!?」
「息子に跡を継がせるのか?」
「北朝鮮の金日成は」
「息子の金正日を後継者に選んだのか」
「自分の息子を」
「そうしたのか」
 このことに誰もが驚いた。
「共産主義なのにか」
「世襲をさせたのか」
「そんなことは過去に誰もしていないぞ」
「スターリンも毛沢東も」
「勿論東欧の共産主義諸国もだ」
「共産主義に世襲はない」
「階級を否定しているからな」
 最早共産主義を知っているなら誰もが理解していることだった。
「それでか」
「共産主義だというのにか」
「自分の息子を次の国家元首に選んだのか」
「北朝鮮の」
「それはいいのか?」
「あの国は共産主義として正常なのか」
「あれでは君主制だ」
 共産主義では有り得ない筈のというのだ。
「マルクスは東方専制君主を否定していたが」
「北朝鮮はその東方専制君主にならないか?」
「おかしなことだぞ」
「共産主義とはとても思えない」
 多くの者が首を傾げさせた、それは村本の周りでもだった。
 生徒の親達が家で首を傾げさせ教師や彼の友人達もだった、これは幾ら何でもと思った。だが村本はというと。
 平然とだ、こう言い切った。
「あの国の人民が支持してたらな」
「いいのか?」
「それで」
「北朝鮮の人民が支持していたら」
「あの世襲もいいのか」
「共産主義の」
「金日成主席の後継者に一番相応しいんやろ」
 金正日、この男がというのだ。
「それで金日成主席も選んでな」
「北朝鮮の人民もか」
「支持してるからか」
「それでいいのか」
「そうなんだな」
「そやろ、大した問題やない」
 全く、という言葉だった。
「そやからな」
「そう言うのか」
「北朝鮮の世襲はいい」
「そうなんだな」
「北朝鮮の人民が支持していて」
「一番後継者に相応しいから」
「全然問題やないわ」
 村本は平然としたままだった、そしてだった。
 彼の北朝鮮礼賛は続いた、そしてもう一つ続いているものがあった。
「ほんま日本の天皇制はあかんわ」
「廃止すべきか」
「日本の皇室は」
「それで廃止してか」
「共和制にすべきか」
「そや、あんなん早く潰してや」
 そのうえでというのだ。
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