十一 暗中飛躍
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と目配せした。
お互いの心にある懸念は一つ。
((もしや、バレたか…!?))
「あ、大丈夫大丈夫」
二人の気持ちを読んだかのように、見えない存在が明るく答えた。
声のする方向へ眼を凝らすと、壁の壁の罅の隙間から、何かが滲み出ている。
じわじわと大きくなる染みの正体を、左近と鬼童丸は注視した。
「……水?」
「せいか〜い!」
瞬間、壁の罅という狭い隙間を抜けて、ばしゃりと多量の水が迸る。
かと思えば、その水は人の姿を模って、やがて青年へと変化していく。
「正確に言えば、【水化の術】なんだけどね〜」
ぴちゃん、と波紋を描いて、人の姿へと戻った水月は、へらへらと笑みを浮かべる。
警戒態勢を崩さない左近と鬼童丸を困ったように眺めて、彼は頭を掻いた。
「え──っと。アンタらが『根』に潜伏中の、元『音隠れ五人衆』?」
悪びれる様子もなくあっけらかんとした物言いで、訊ねてきた水月に、左近と鬼童丸の顔から血の気が引いた。
色白の見知らぬ青年と大きく距離を取る。チャクラを練り始めた二人に、水月は慌てて顔前で手を振った。
「いやいやいや!!ちょ、ちょっと勘違いしてない!?」
水月の意見を聞かず、左近が一気に踏み込む。その後方では、鬼童丸が蜘蛛の糸を硬質化させ、弓矢を構えた。
【呪印】を発動させずとも蜘蛛の糸を弓矢に変化させる事が可能になっているのは、皮肉にも『根』の過酷な修行の効果である。
「敵じゃないって!!」
二人からの攻撃を避け、水月は叫ぶ。
能天気な雰囲気を醸し出しているものの、しっかり回避する相手に、鬼童丸と左近は益々警戒心を高めた。
しかしながら直後、攻撃を仕掛けた彼らは、水月の一言で、ピタッと動きを止める。
「アンタ達、喧嘩っぱやすぎ!カルシウム足りてないんじゃね!?君麻呂を見習ってカルシウム濃度調整しろよ!!」
折しも、昔、香燐が君麻呂に向かって怒鳴った言葉と同じ言葉を水月は言い放つ。
君麻呂の名前に反応した左近と鬼童丸は水月を訝しげに見遣った。
「……てめぇ、君麻呂を知ってるのか?」
「知ってるも何も!アイツ、ナルトにべったりじゃん!!白と毎回、右腕の座巡って争ってるし!」
聊かうんざりした口調で答えた水月に、左近と鬼童丸は顔を見合わせる。
攻撃こそ止めたが、未だ警戒態勢は崩さず、水月から距離を取っていた二人の脳裏に、次の瞬間、声が響いた。
『久しぶりだな、鬼童丸、左近…それに、右近も』
普段は左近の体内で眠っている右近にも挨拶してきたその声の主に、水月・鬼童丸・左近は同時に叫んだ。
『おっそいんだけど!?ナルト!』
『ナルトか!待ち合
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