【籠の外の鳥】
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──休日、やわらかな日差しが差し込む自宅の縁側で座禅を組み瞑想していると、暫くして小鳥達が徐々にネジに群がってくる。
チュンチュンと頭やらネジの豊かで滑らかな髪の中、肩や膝の上など所構わずぴょんぴょんと駆けずり回る小鳥達。
「……判った判った、今ごはんあげるから」
ふう、とひと息ついてネジは瞑想を解き、小鳥達を驚かせないようにゆっくりと立ち上がって茶の間の棚の上に置いてある小鳥用の餌の袋を手に取り、縁側に戻って庭先にパラパラと撒いてやる。
すると小鳥達は待ってましたと言わんばかりにアワやヒエを忙しなくついばむ。
そのいつもの光景は見飽きる事はなく、ネジは縁側に座って膝の上で頬杖をつき、微笑を浮かべて小鳥達を眺める。
ネジの手の平の上の餌も何の抵抗もなく小鳥達はついばみ、頭の上に乗ってじゃれるように軽くつついてくる子もいる。
……もう何年も続けている日課で、任務のない休日は欠かさずネジは庭先にやってくる小鳥達に餌をあげていた。
「──ネジよ」
気配に気づくのが遅れ、不意に声がした方へ顔を向けると、日向宗家当主のヒアシがいつの間にか離れのネジの家の庭先を訪れていた。
「ヒアシ様、何か御用でしょうか。今すぐお茶を用意して──」
すっくと立ち上がったネジから小鳥達がパタパタと一斉に飛び立ち、縁側の屋根の上に飛び移る。
「いや、そのままで良い。……鳥達に、餌をあげていたのだろう」
「えぇ、まぁ……。ヒアシ様が直々にこちらへいらっしゃらなくとも、使いの者をよこして下されば──」
「いや、私自身お前と少し話がしたかったのだ」
「そう、なのですか」
「私には構わず、続けて餌を鳥達にあげてやるといい」
「あ……はい。──ほら、おいで」
ネジが囁くように呼びかけると、縁側の屋根で様子を伺っていた小鳥達が一斉に庭先に降りてきて再びネジの周りに群がった。
「フフ、随分懐かれているようだな」
「いや、その……餌をくれる人間と認識されているだけですよ」
ネジは少し恥ずかしそうな笑みを見せる。
「あの……ヒアシ様も、餌を直にあげてみますか?」
「私が、か……?」
僅かに怪訝そうな顔をされ、ネジはヒアシの機嫌を損ねてしまったかと一瞬たじろぐ。
「あ、いえ、申し訳ありません。ヒアシ様にそのような事をさせるなど──」
「いや、そうしてみよう。……鳥の餌を寄越してくれ」
「は、はい……」
ネジはヒアシの片手の平に、鳥の餌を適量盛る。
「ふむ……」
縁側に座り、小鳥達の近くで直に手のひらで餌を与えてみようとするヒアシだが、なかなか寄って来ない上にネジの方ばかりに相変わらず小鳥達はチ
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