ペルソナ3
2030話
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程度の傷。
何故だ、と。そう荒垣は天田に尋ねる。
それは、挑発とかではなく、純粋に何故天田が自分に対して槍を刺さなかったかという、そんな疑問。
そんな疑問を向けられた天田は、特に動揺や悩んだりした様子も見せずに、口を開く。
「もしここで僕が貴方を殺してしまえば、少しはすっきりするかもしれませんが、逆に荒垣さんもこれ以上は苦しまずにすみますよね?」
その言葉は荒垣にとっても完全に予想外だったのか、数秒前に浮かべていた全てを受け入れるかの如き表情は、驚愕に変わっていた。
そして俺は、そんな天田の言葉を聞けば、何を思っているのかを想像するのは難しい話ではない。
それはつまり、天田が俺の言葉を受け入れたという事。
「けど、ここで荒垣さんが死ななければ……その場合、荒垣さんが僕を見れば、その度に自分の罪を意識し、苦しむ事になる筈です」
「それは……」
天田の言葉が図星だったのだろう。
荒垣は何かを言おうとするも、それ以上は言葉に出せない。
実際、もし荒垣が自分のやった事を後悔しておらず、天田を見ても何も感じないような男であれば、天田もこのような行為をしたりはしなかっただろう。
それこそ、最初から考えていたように荒垣の命を奪っていた筈だ。
そうならなかったのは、荒垣の性格あってこそだろう。
ほっとし……俺は拍手しながら姿を現す。
「まさにハッピーエンドって奴だな」
「なっ!?」
「アルマーさん!?」
いきなり姿を現した俺の姿に、荒垣と天田の2人は驚愕の表情を浮かべる。
……にしても、俺達が目障りなタカヤや幾月にしてみれば、こうして影時間の中で2人だけで行動している荒垣と天田は格好の標的だった筈だ。
そう考えれば、襲撃されてもおかしくはなかったんだが……やっぱり、チドリを失ったのが痛いのか?
そんな風に思いつつ、俺は2人の方に近づいていくのだった。
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