ペルソナ3
2030話
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Sから抜けてしまうという可能性すらあった。
そう考えれば、やはりここはギリギリまで様子を見た方がいいのは間違いない。
「僕がなんで今日、こんな時に呼び出したのか……それは、言わなくても分かりますよね?」
「ああ」
そんな声を聞きつつ、俺は気配を殺し、2人の様子を窺う。
気配遮断を使う……といった真似はしていないが、それでも荒垣達に俺の気配を察するような事は出来ない。
この辺り、まだまだ修行不足……といった感じなんだろうな。
エヴァ辺りがここにいれば、間違いなく猛特訓が待っているだろう。
そんな風に考えている間にも、天田と荒垣の話は進んでいた。
「俺がお前の母さんを殺したのは、間違いねえ。やれよ。その為に、お前はこれまで生きてきたんだろ?」
「……そうやって大人しく死を受け入れるような真似をすれば、僕が殺さないとでも、思ってるんですか?」
天田が小学生とは思えないような、鋭い視線を荒垣に向ける。
だが、その視線を向けられた荒垣は、全てを受け入れるかのように、天田に対して何か反応する事はない。
もし天田が今の状況で荒垣を殺そうとすれば、ほぼ間違いなく防ぐような事もせずに、そのまま受け入れるだろう。
もし天田が本当にその気になった場合、すぐに止めに入れるようにしながら、2人の様子を眺める。
だが、そのようにしながらも、俺はそれ程心配してはいなかった。
何故なら、荒垣を睨み付ける天田に殺気が存在していなかった為だ。
もし本当に天田が荒垣を殺そうとしているのであれば、そこには間違いなく殺気がある筈だ。
それがないという事は……多分、問題はないと判断してもいい筈だった。
「では……僕のお母さんを殺した事を後悔しながら、死んで下さい」
そう言い、天田が槍を構える。
……本当に大丈夫だよな?
こうして見ても天田は殺気を発してないが、その言動は間違いなく荒垣を殺そうとしているように思える。
言動が一致していないというのは、まさにこういう時の事を言うんじゃないだろうか。
そう思いながら様子を見ていると、やがて天田は槍を構え……突きを放つ。
小学生の一撃ではあるが、今までシャドウと戦い、S.E.E.Sの連中と訓練をし、俺もまた同様に訓練をしてきた。
その結果、天田の放つ一撃はとてもではないが小学生が放てるようなものではなくなっている。
それこそ、まともにその一撃を受ければ、荒垣であっても致命傷となるくらいの威力は持っているのだ。
止めるかどうか一瞬本気で迷い、だが槍の軌道を見て安堵の息を吐く。何故なら……
「何でだ?」
ニット帽を被った荒垣の頬からは、一筋の血が流れている。
だが、それはあくまでもかすり傷でしかなく、到底致命傷とは呼べない
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