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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第258話 心に届く想い
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してしまう自分がいる。でも、もう皆に甘える訳にはいかない、と明日奈は玲奈よりも一歩前に出て、母の前へと出た。
「……帰りが遅かったわね」
明日奈が近づいたのを感じた母、京子は椅子に座ったまま、くるりと向き直った。
「「ごめんなさい」」
帰るのが遅れた事。門限を守らなかった事。これは自分達に非がある為、そこは素直に謝った。
「夕食はもう始末しましたからね。何か食べたいなら、冷蔵庫の中の物を勝手にしなさい。……後明日奈。この間話した編入申請書の期限は明日ですからね。朝までに書き上げておくのよ」
話は終わった、と言わんばかりにキーボードに手を戻そうとする京子。玲奈はぎゅっ と拳を握りしめた。あれだけ言ったのに…… 母にはやはり何も届かないのか……? と思ってしまったから。
そんな玲奈に気付いた様で、明日奈はそっとその握りしめ、震えている拳にそっと自分の手を添えた。
「っ……」
玲奈は、明日奈の手に包まれそっと力を抜いた。
その明日奈の横顔は、覚悟を決めた顔だと言う事が玲奈には判った。だから、自分自身も
覚悟
(
・・
)
を決めて、そして拳の力を緩めた。
「そのことなんだけど……。話があるの。母さん」
「言ってみなさい」
「ここじゃ説明し難いの」
「じゃあどこなら言えるのよ」
明日奈はすぐには答えず、京子の傍らまで進み出た。
後ろには玲奈が見ていてくれる。ランやユウキに続いて、自分の力になってくれているのが実感できる。
だから、自分のいた世界を、自分が生きてきた世界を母に見せる為に、 あの兄のアミュスフィアを母に差し出した。
「VRワールド……。少しだけで良いから、ここで、来てほしい場所があるの」
銀色の円環をちらりと一瞥しただけで、京子はおぞましい物を見る様に眉間に谷を刻んだ。議論の余地など微塵もない、と言わんばかりに右手を振る。
「嫌よ。そんなもの。ちゃんと顔と顔を向かい合わせてできない話なんて、聞く気はありませんよ」
いつもの明日奈であれば、ここで引いていただろう。
それは京子も判る。判っていたからこそ、断固拒否の姿勢を貫いた。
だが、明日奈は怯まなかった。
「お願い、母さん。どうしても見せたいものがあるの。5分だけでいいから……。お願いします。私が、私達が、今何を感じて、何を考えているのか、それを話すのには、ここじゃだめなのよ。一度で良いから……、わたしたちの世界を母さんに見て欲しいの」
「…………」
京子はますます眉間を強く、きつく寄せた。だが、明日奈の表情を見て、そして 後ろで控えて見守っている玲奈の表情を見て、 ふぅ、と長いため息をつき答えた。
「―――5分だけよ。それに、何を言われようと、お母さんはあなた
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