暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第258話 心に届く想い
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来た。
 それはきっとあの感情が爆発してしまった時のことを伝えているのだろう。それを謝罪しているのだろう。


――あの時レイナは京子を罵る様に……罵倒する様に言った。
――幸せなんか願ってくれてないと言った。
――人としておかしい、とまで言った。

 

 ここで涙を流している母を見て――。本当に心が無いんだったら、本当に何も考えてくれていないんだったら。涙は流したりはしない。この世界は感情の機微を細部に至るまでの機微を読み取り、そして表現してしまう。止まる事の無い涙。泣いている母の姿。

 それが本当の姿。本当に――自分達の事を考えてくれている母親の姿。 


―――何も知ろうとしなかったのは、自分自身かもしれない。


 レイナは心の中で葛藤し、そして現実では涙を流し続ける。
 そんなレイナに寄り添おうとアスナが駆け寄ったが……。

「っ……!」

 京子の方が早かった。
 泣いているレイナを、抱きしめたから。

 これも、いつ以来の事だろう。ここまで温かく抱きしめてくれたのは。



―――ごめんなさい。


 
 また、聞こえてきた。
 それはレイナからなのか、それとも京子からなのか。はっきりとはわからない。

 それでも判る事はある。


――あの日から隔たってしまった大きな壁。母と私達の間に確かにあった見えない壁。それを今日取り除く事が出来たのかもしれない。 


 そして妹の事を――助ける事が出来たのかもしれない。 


 あの日、自分が出来なかった事をしてくれた妹へ………還す事が出来たのかもしれない。

「…………」

 アスナの眼にも涙が流れ出た。

 もう言葉は無い。

 ただただ小刻みに震えている互いの身体を共に止めようと抱きしめているだけだ。



 そんな2人の傍らにじっと立ち、見守り続けるのだった。

 
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