第六章
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「信じられない試合でな」
「ううん、何ていうかね」
「御前も学んだな」
「というか考えてみたらね」
千佳は阪神のそのあまりもの不甲斐なさから述べた。
「阪神らしいわね」
「それがわかってきたな」
「ええ、阪神らしいわね」
「そういうことだ、じゃあお兄ちゃんが帰ってきたらな」
「何も声をかけないことね」
「まずは風呂に入れるんだ」
家に帰ってきた兄をというのだ。
「そうしろ、いいな」
「よくわかったわ」
こうした話をしてだった、そのうえで。
千佳は兄が帰ってきた姿を見た、見れば目が真っ赤に光り全身から黒い瘴気にも似たオーラを放っていた。
そうしてだ、千佳はただその兄を見送り母が彼を風呂に入れさせた。
その日はこれで終わった、しかし。
翌朝寿は千佳に朝御飯の時に言った。
「三連戦は残念だったがな」
「ええ、本当にね」
千佳は兄に難しい顔で応えた。
「観ていたけれど」
「また今度だ」
「そう言うのね」
「ああ、またな」
こう言ったのだった。
「次の勝負だ」
「やれやれね」
「やれやれか」
「観てたけれどあんまりな試合だったからね」
それも三試合続けてというのだ。
「呆れたわ」
「その言葉過去のものになるかな」
「もう過去じゃない」
千佳は朝御飯の卵焼きを食べつつ兄に返した。
「既に」
「あの時は困ったなってな」
「優勝した時に振り返るとか?」
「そんな風になるからな」
「どうだか」
千佳は寿に今日もこう返した。
「それは」
「まだそう言うんだな」
「言うわよ、毎年いつもそう言ってるから」
「だから言うぞ、今年はな」
「阪神優勝ね」
「絶対にそうなるからな」
強い声で言う兄だった、だが千佳がその兄と話をして登校してそのことを友人達に言うとすぐに友人達に言われた。
「黒い怒りのオーラ出してなのね」
「真っ赤な目になってたのね」
「もう完全に人間止めてるじゃない」
「鬼になってるわよ」
「そうよ、そんなのだからね」
それでと言う千佳だった。
「困ったことよ」
「いや、それってね」
ここで友人達が言うのだった。
「千佳ちゃんもだからね」
「そうそう、巨人に連敗したりしたらね」
「それもマツダスタジアムで」
その千佳の話をするのだった。
「もうそれこそね」
「どれだけ凄いお顔になってるか」
「お兄さんと全然変わらないわよ」
「凄い状況になってるわよ」
「そう?」
千佳は友人達に自覚のない顔で応えた。
「別に何もなってないわよ」
「いや、なってるから」
「同じ風にね」
「もう見ていて近寄れないから」
「その時のお兄さんそっくりになってるわよ」
「そんな筈ないじゃない、なってたらね」
それこそと
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