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翠碧色の虹
第二十五幕:蒸気と舞う虹
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咲「汽笛が鳴るって分かってたから♪」
時崎「そうなのですか?」
凪咲「ええ♪」

「C11機関車」はそのまま、ゆっくりと転車台を後にし、その先にある客車の方へ進んでゆく。

凪咲「では、私たちも駅に参りましょう♪」
七夏「はい☆ 柚樹さん☆」
時崎「ああ」

「C11機関車」は、小さなイベント用の駅を通り過ぎた所で停車した。そして、その手前にある分岐レールを乗務員が操作して、駅方面へと切り替える。「C11機関車」がゆっくりと後退して、客車に連結された。

小さな駅に到着すると、「C11機関車」から七夏ちゃんのお父さんが姿を見せた。

凪咲「あなた。いよいよね♪」
直弥「ああ。凪咲、七夏、ご乗車ありがとうございます!」
七夏「はい☆」

凪咲さんと、七夏ちゃんに付いてゆく形で、俺も客車に乗り込んだ。

直弥「時崎君も、本日はご乗車ありがとうございます!」
時崎「はい!」

客車は3両で観光用らしく、小型で窓は無く開放的だ。他のお客様も次々と乗り込んできた。これから、イベント会場を一周するのだろう。なるほど、そういう事か。七夏ちゃんのお父さんが運転士として機関車を運転する場合、限られた範囲なら可能なのだと理解した。そう、遊園地の機関車を運転するような事・・・しかし、七夏ちゃんのお父さんが運転する機関車は「本物」だ。これは間違いなく「本物の運転士」だと思う。

「C11機関車」は、大きな汽笛を鳴らし、ゆっくりと動き出した。俺の予想とは異なる方向へ・・・。

時崎「あれ!?」
七夏「どうしたの? 柚樹さん?」
時崎「イベント会場を出てるよね?」
凪咲「旧線を走っているのよ」
時崎「旧線・・・大丈夫なのですか?」
凪咲「ええ。旧線は今は訓練や観光用に使われている区間になりますので」
時崎「なるほど」

以前に、訓練線や保守線では七夏ちゃんのお父さんでも運転が出来るという事を聞いていたので納得した。これは「限定的な用途」の範囲内なのだろう。

凪咲「蒸気機関車は2人で一緒に運転するので、もう一人が正式な運転士ですから、万一の事があっても大丈夫です」
時崎「すみません。そこまでは心配していませんので」
七夏「柚樹さん! 景色、とっても綺麗です☆」

旧線は、山沿いを走るため、景色は素晴らしかった。列車は大きく長い鉄橋に差し掛かると、何故か速度を落とし、そのまま停車した。

時崎「あれ!? 鉄橋の真ん中で停車!?」
凪咲「観光列車ですから」
時崎「なるほど。確かにここからの景色は絶景だ」

眼下に広がる世界。街と海・・・列車からではないと見れない視点。観光列車でなければその景色もすぐに流れてゆく事になったであろう。じっくりと今しか見れない景色を眺め、写真にも納める。

七夏「あ
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