第二十五幕:蒸気と舞う虹
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近すぎて、全体を収めるのは無理だ。何枚かに分けて撮影する。凪咲さんと七夏ちゃんも一緒に撮影した。時間が経過するにつれ、人が集まってきた。
凪咲「もうすぐかしら」
七夏「♪」
時刻は10時00分。大きな音と同時に、蒸気機関車がゆっくりと前進してきた。周囲の人からも歓声が上がる。
時崎「おっ!」
蒸気機関車が転車台の前で一度停止する。続いて放送が入る。
放送「本日は、当イベントにお越しくださり、ありがとうございます! 今、皆様がご覧の蒸気機関車は『C11形蒸気機関車』と呼ばれており、石炭を搭載する専用のテンダー車を持たないタンク式蒸気機関車で小型で小回りが効くのが特徴です」
時崎「これで、小型なのか?」
俺には随分大きく、そして呼吸するかのような躍動感が伝わってきた。
放送「こちらの『C11機関車』は、動体保存ではなく、今も現役で活躍しております。本日のイベントの為に特別に遠くの街から応援に来てくれました! それでは、『C11機関車』の勇姿をお楽しみくださいませ!」
一瞬、「C11機関車」が汽笛のような音を鳴らし、ゆっくりと転車台へと入ってくる。俺はその様子を何枚かに分けて撮影した。
「C11機関車」が転車台に入ると、機関車内から乗務員が降りてきた。七夏ちゃんのお父さんではないみたいだ。そして、近くに居た他の乗務員と一緒に転車台をゆっくりと回転させはじめる。
七夏「あっ! おとーさーん!」
転車台に乗った「C11機関車」が回転し、中に乗っている七夏ちゃんのお父さんが俺にも見えた。直弥さんが七夏ちゃんに気付いたようだ。俺は大きく手を振る七夏ちゃんを撮影し、直弥さんも撮影しようとすると、タイミングよく直弥さんも手を振ってくれ、更に敬礼のポーズをとってくれた。再び、七夏ちゃんを見ると、七夏ちゃんも敬礼のポーズをとったので、その様子を押さえた。これは、いい写真が撮れたと思う!
時崎「あれ? 向きを変えるのではなくて、一回転以上してない!?」
七夏「そうみたいですね☆」
凪咲「イベントでは、一回転以上させて機関車全体を見てもらうためなの」
時崎「なるほど」
そのまま見ていると機関車を二回転させていた。通常は機関車の方向を変える場合半回転で良いが、展示会では一回以上回転させ、機関車の全体を見てもらう事になっているらしい。
七夏「柚樹さん! くすっ☆」
時崎「え!?」
七夏「あっち見たり、こっち見たりしてます☆」
時崎「あはは。確かに慌しいけど楽しいよ!」
七夏「はい☆」
その時、大きな汽笛音が轟く。
時崎「うわっ!」
七夏「ひゃっ☆」
驚く七夏ちゃんとは対照的に、凪咲さんは、いたって冷静に機関車を眺めていた。
七夏「お母さん、驚かないの!?」
凪
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