第六十二話
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―四階 北側―
「大丈夫ですか!?」
私達は最後の曲がり角を勢いよく曲がりなが声を出した。
廊下には人影はなく、手前から数えて四番目の部屋の扉が開かれていた。
それを見た私たち五人はその扉の中に入っていった。扉の上には、『庫倉』のプレートがあった。
…………絶対出るよね。
確信にも似た想像をしながら鴨居をくぐる。
「どうしました!?」
部屋に入ると、電気は点いていた。
部屋の中では部屋の隅でガクガクと震えている五十鈴さんと祥鳳さん。中央には丸めた新聞紙を構えて辺りを見渡している拓海さんの姿があった。
「春雨!?入ってくるな!!」
拓海さんは今まで聞いたこともないような大声を出した。
「やっぱり、こっちにも出たんですか!?」
古鷹さんが私の後ろからホウキを構えて中を覗く。
「…………こっちにも?」
その言葉に首をかしげる拓海さん。暫く考えたあと、ハッとしたようにこちらを見てきた。
「…………そっちにも?」
「…………はい。」
私は頷いた。絶望の表情に変わった四班の人達。
そんな私たちの背後から、ブウゥゥンというような音が鳴り響いた。
私は再び深呼吸すると、ジト目で回りの人を見渡した。
「…………誰の携帯のバイブですか?」
「春雨さん!?さっきから現実逃避しすぎですよ!!」
古鷹さんが私の肩に手を置いて叫ぶ。私は遠い目をしていたと思う。
「だって…………さっきからずっと追いかけてるのに…………どんどん増えていくんですよ?現実逃避もしたくなりますよ。」
「いや、追いかけましょうよ!!もう他の皆さんは出ていきましたよ!?」
「だいたい、ゴキ○リだって言ってしまえばただの虫じゃないですか。なんで皆そんなに邪険にするんですか?ゴ○ブリが可哀想ですよ。」
「あぁ、もう!!ツッコミ所しかない!!兎に角行きますよ!!このままじゃ、皆がGにやられますよ!!」
「いやぁ、○キブリくっつかれた身としては、もうどうでもいいかなぁって。」
「自棄にならないで!!」
古鷹さんは意気消沈している私を無理矢理引っ張って廊下に出た。
「早く皆を追いかけ…………ん?」
古鷹さんは廊下の向こうを見て固まった。疑問に思った私は古鷹さんの目線の先を見てみる。
そこには、なぜかUターンしてきている拓海くん達の姿が。
「提督?皆?どうしたん…………。」
「春雨!古鷹!早く逃げろ!!」
「急げ!!」
私たちが何が起
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