【彼が願ったのは】
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「えっと……、ナルト義兄さん?」
少し暑いくらいの日差しが降り注ぐ日中、ネジの墓前に一人来ていたらしいナルトの後ろ姿に、ハナビは少し呼びかけづらそうに声を掛けた。
「おッ!? な、何だってばよ、ハナビッ?」
「ちょっと、そんなに緊張しなくてもいいじゃない」
「いや、だってよ……、義妹になったハナビに“にいさん”って呼ばれっと何か恥ずかしいっつーか、なんつーか……まだ慣れなくてよ」
照れ隠しのように頭を片手で軽く掻くナルト。
「私だって次期火影になる人を義兄(にい)さんって呼ぶ事になるなんて、思ってもみなかったわよ。まだ呼び慣れないし……、それにナルト義兄さんにだって“義兄さん”が出来たでしょ?」
「あぁ……、ネジの事だよな」
「そう、私にとっては従兄のネジ兄様」
「そうなんだよな……ネジは俺の、義兄ちゃんなんだよな……」
ナルトは下向き加減で微笑しつつも、どこか悲しげな表情でネジの墓に目を向けている。
「そんな顔しないの! もうすぐヒナタ姉様との間に子供も産まれるんだし、ネジ兄様だって見守ってくれてるんだからしっかりしなさいよね、ナルト義兄さんっ!」
ナルトの背中をパシッと叩いて励ますハナビ。
「お、おう! 任しとけってばよッ!」
「ヒナタ姉様と一緒に……ネジ兄様の分まで、幸せにね」
「あぁ……分かってる。ハナビ、お前は──」
「私は日向家の跡目として生きていく事に変わりないわ。日向の呪印制度……大戦後執行停止にはなっていて、完全に廃止するにはまだ時間が掛かりそうだけど、ナルト義兄さんが火影になる頃には呪印制度を廃止にしてみせる。──大戦で亡くなったネジ兄様へ報いる為にも。それが日向宗家としての、父上と私のけじめだから」
ハナビはナルトがハッとするほど凛として、澄み切った蒼空を仰ぎ見る。
……一羽の鳥が、空の彼方へ大きく羽ばたいて行くのが見えた。
「ナルト義兄さんは次期火影……、私は次期日向の当主……。お互い責任重大だけど、頑張りましょうね」
「おう。里の仲間、家族みんなで支え合ってけば乗り越えていけるってばよ」
「家族、か……。──ネジ兄様だって、幸せになる権利はあったんだよね」
「…………」
ハナビの言葉で、僅かにナルトの表情は曇る。
「あ……、ごめんなさい。こんな事言っても、仕方ないのに」
「いや、いいんだ。その通りなんだからよ。ネジには、ネジの未来があったはずで……けどネジは、俺とヒナタを命懸けで守って先へ繋いでくれた。だから今度は……俺達が、ネジの意志をこの先へ繋げて行くんだってばよ」
「ネジ兄様の、意志……」
「仲間や家族を、守り抜く事だ。……出来れば生き
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