【彼が願ったのは】
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て守り続けねぇと、みんなに寂しい思いさせちまうからな」
「────」
ハナビはネジの墓石に、ふと憂いの表情を向ける。
「私……ほんとは、ネジ兄様が大戦から帰って来たら、次期日向当主の座を譲ろうと思っていたの」
「そう、だったのか」
「父上には、大戦前から進言していたんだけど……父上も、了承してくれていた。──分家と宗家の垣根を越えて、呪印制度を廃止した上で次期当主には、一族の誰よりも日向の才に愛されたネジ兄様が最も相応しいと」
「…………」
「けどこうなってしまった今は、私が日向家の跡目なのは変わらない。──私はネジ兄様の分まで強くなって、日向一族を守ってゆくの」
「そうか……。きっとネジも、ハナビを誇りに思ってるってばよ」
「ふふ…、そうだといいな。……優秀な上忍になってますます忙しい中でも、その合間を縫ってネジ兄様はヒナタ姉様にも私にも修行をつけてくれていたの。もっと……色々教えてもらいたかった。回天だって、ネジ兄様の前で使いこなせるようになりたかった。一緒に、日向家を守って行きたかった……」
ハナビは身を屈め、ネジの墓石にそっと触れた。
──日中で少し日差しが強い為か、その感触は暖かい。
「って、しんみりしてちゃダメね! ネジ兄様に叱られちゃうわ。──まだまだ先があるんだもの、ネジ兄様が見たかった“その先”を、私達が目指さなきゃね」
姿勢を正したハナビは、自分を鼓舞するように義兄に笑顔を向け、ナルトもそれに応えるように笑顔を返す。
「あぁ…、そうだな」
「あ、いけない! そろそろ日向家に戻って、後輩の子達に柔拳を教えてあげなくちゃ! ……それじゃネジ兄様、ナルト義兄さん、またね!」
ハナビはネジの墓石とその前に居るナルトに声をかけたあと、足早に帰って行った。
「──なぁネジ、日向はもう良い方向に向かってるみたいだぜ。俺がお前に約束してた、『俺が火影になってから日向を変えてやる』って前に、きっとハナビが変えてくれるってばよ」
ナルトはそう言ってニカッとネジの墓石に笑いかけた。
「お前が本当は生きて守り続けたかったもの……、俺が、俺達がこの先もずっと守ってくからな、ネジ」
《終》
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