暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第85話 後始末は自分の手でつけるのが世の中の鉄則 その2
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 ため息一つ吐き、銀時は重い腰を持ち上げて玄関へと向かう。
 本来ならばなのはに一任したい所なのだが、今のこいつに頼むと面倒毎になる上に万事屋のイメージダウンに繋がりかねない。
 なので仕方なくオーナーである自分自身で客を出迎える事にした。

「へいへい、今出ますよっと―――」

 銀時が玄関口まで向かっている間にもひっきりなしに戸口を叩く音が鳴り響いてきててうるさくてかなわない。
 普通ならば2、3回ノックすれば良いのだろうが、これは相当切羽詰まっている状況なのかはたまたとっとと終わらせたい自分勝手な性分の奴なのか。
 いずれにせよそう言った輩からはそれ相応の依頼料をふんだくってやれば良いだけの事だ。
 いずれにせよ昨日の分の埋め合わせにはもってこいと言える。

「ういぃっす。万事屋銀ちゃんでぇっす。依頼の方ですか?」

 やる気も覇気もないけだるい感じのまま戸口を開く。そんな銀時を出迎えたのは依頼客の顔ではなく依頼客の物と思わしき激しい腹部へのダメージであった。

「ごふぅっ!!」

 思わず苦悶の声を挙げてしまう。どうやら何か大きな物体を投げつけられたのかそれとも姿勢を低くした上での体当たりを食らったかのどちらかと思われる。
 痛みを堪えつつその痛みを生み出した不届きものを見た時、それの意味を銀時は理解した。

「なのはぁぁぁ! 私のお願いを聞いてぇぇぇ!」

 其処に居たのは滝のように涙を流しながら銀時の腹辺りにしがみついてワンワン泣きじゃくるフェイトの姿だった。
 恐らく出迎えるのをなのはと早合点した為にこんな場違いな展開になってしまったのだろう。

「何しに来たんだよお前。ってか、いい加減離れろ! 俺の一張羅がてめぇの涙と鼻水と涎で汚れるだろうが!」
「!!! え? 何であんたが此処に居るのよ! ってかなのはは? なのははどうしたの?」
「良いからさっさと離れろこのクソガキ! 重いし痛ぇし汚ぇんだよ!」
「何よ! 私そんなに重くないわよ! それに汚いって何よ! これでも毎日お風呂とか入ってるし身だしなみにはちゃんと気を付けてるんだからねぇ!」
「そう言い張ってる奴が開幕一番で涙と鼻水と涎垂らしまくって人のどてっ腹に体当たりかますのがそもそもおかしいだろうが!」

 既にご承知の事とは思うが、銀時とフェイトは仲がとても悪い。まぁ、過去に何があったかは今更語ると面倒なので前の話を見ていただけると幸いですとだけ此処に書き記しておく。
 それでだ、玄関の入り口辺りで二人して激しい言い争いをしているのだから、当然居間に居るシュテルにまで聞こえて来るのは明白の事でもある訳で。

「お父様、どうしましたか? やはりイチゴ星人の襲撃でしたか? それとも他の有害知的生命体の襲撃でしたか?」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ