ペルソナ3
2029話
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夕食も終わり、ゆかりを影のゲートで寮まで送り届けてから、数時間。
午後10時近くなったのを確認してから、俺は影のゲートで巌戸台分寮にある天田の部屋に転移する。
こうして考えると、改めて影のゲートってのは使える魔法だよな。
わざわざ外に出たりとか、そういう事もしなくてもいいんだから。
そんな風に思いつつ部屋の中を見回すと、ベッドで横になって何かを考え込んでいる様子の天田の姿があった。
……どうやらその考え事に夢中になりすぎていて、俺が部屋の中に姿を現したのにも気が付いていないらしい。
「天田」
「……え? アルマーさん? あ、すいません。もう約束の時間に……」
声を掛けて初めて我に返ったのか、天田は俺の姿を見ると慌てて上半身を起こし、慌てたように言ってくる。
「ああ。何か考えてたようだが、俺に相談ってのは、その件か?」
まぁ、天田が考え込むような事で思い当たるのは1つしかないんだが……まさかそれを直接この場で言う訳にもいかないしな。
「え? あ、はい。そうなんです。実は友達と復讐……あ、勿論漫画とかですよ? その漫画でやってた復讐について話していて……」
言葉を濁す天田だったが、恐らくその漫画云々というのは全くの嘘だ。
恐らく……いや、確実に自分の母親の仇に対する復讐の事だと思って間違いない。
もっとも、それを言えば止められると思っているからか、漫画だと言って誤魔化しているんだろうが。
「復讐か。確か、前にも同じような事を話さなかったか?」
「え? ああ、そう言えばそうでしたね。ただ、ちょっと今回は思うところがあったので」
以前にも天田から復讐についてどう思われるのか、といった風に聞かれた。
それを指摘すると、天田はそう言って誤魔化してくる。
さて、あの時の事は本当に覚えているんだろうか。
「そうか。俺に限って言えば、復讐は決して悪い事じゃないと思うけどな。……勿論、法的に色々と不味いのは知ってるが。ただ、復讐だけを人生の目的とする、というのはどうかと思う。復讐をする事だけを目指して生きてきて、復讐した後は何もやることがないってのは、生きてる意味が復讐だけって事になってしまうだろ?」
「それはっ!?」
俺の言葉に慌てたようにして何かを言い掛けた天田だったが、それ以上は何も言えなくなって口を噤む。
まぁ、実際に今の天田は母親の仇を討つ事だけを考えているんだろうから、まさに俺の言葉がクリーンヒットしたといった形だったのだろうが。
「それに、復讐する相手によっても色々と変わってくるな。相手が復讐されるべき事をしたと納得して、それを後悔しているのなら……それこそ、復讐する相手が死ぬ事を望んでいるのなら、そんな相手を殺すというのは復讐相手の望み通り
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