ペルソナ3
2029話
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に行動している……そう思わないか?」
「それは……」
ましてや、その復讐相手を守る為に、わざわざ一緒に行動をしてるようなら、な。
そう言おうと思ったが、今ここでそれを言ってしまえば、間違いなく天田は俺が荒垣について気が付いていると判断するだろう。
いや、実際に気が付いているのは間違いないんだが。
ただ……俺から見ても、荒垣は天田に復讐される事を望んでいる。
正確には、自分のミスを裁く相手を待っているといった方が正しいか。
だからこそ、こうして天田の中にある考えを少しでも変えようとしているのだが。
「それよりは、寧ろ死にたいと思っている相手を敢えて生かしておく事が、そういう奴にとっては、より大きな復讐という形になると思うけどな」
「……そう言えば、前にも同じような事を言ってましたね」
以前復讐について話した時の事を思い出したのか、天田は少しだけ笑みを浮かべてこちらに視線を向けてくる。
まぁ、実際死を望んでいるのに殺すような事をせず、それどころか自分の罪の象徴がずっと自分の側で生きているというのは、荒垣のような性格の男にとっては、これ以上ない程に効果的な復讐の方法ではあると思うが。
「死にたいと思ってる相手を殺すのは、寧ろ復讐じゃなくて、相手を楽にする行為だろ?」
そう告げると、天田は難しそうな表情で何か考え始める。
何かと言っても、それは当然仇の事……いや、待て。この状況で改めて復讐云々という話を持って来たという事は、もしかして天田の仇が荒垣だと気が付いたのか?
けど、何でそれに気が付けた?
……まだ寮に幾月がいるのであれば、それこそ幾月が何か動いたんだろうというのは予想出来る。
だが、今この寮に幾月がいない以上、天田が荒垣を仇だと見抜くなんて真似は、そう簡単に出来ない筈だった。
となると……もしかして、荒垣が何か口を滑らせたのか?
もしくは、真田辺りならうっかり口を滑らせても不思議ではない。
その辺り、後で荒垣にしっかりと話を聞いておくべきか。
「そう、ですね。……うん、ありがとうございます。色々と思うところがあったんですけど、僕は自分で何をしたいのか、ようやく分かりました」
笑みを浮かべてそう告げる天田の様子を見れば、復讐を決意したようには見えないが……さて、その辺りどうなんだろうな。
「そうか? それで、その漫画の主人公はどうなると思う?」
「え? えっと……さぁ、どうなるのかといったところは分かりませんが、それでも後悔をしないように生きるんじゃないでしょうか」
少し戸惑った様子で呟くその声に、俺はそうかとだけ一言呟く。
取りあえず、今の天田の様子を見る限りでは、その辺はあまり心配しなくても良さそうな気が……しないでもない。
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