104部分:イドゥンの杯その十
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イドゥンの杯その十
それは成功した。中立星系の多くは帝国と戦う力を持たない者達であり、同時に彼等への反発を抱いている者が多かったのである。友好星系も元々は同じである。よってトリスタンのその申し出にむべもなく応えた。こうしてトリスタンは周辺の反帝国同盟の盟主となったのであった。
そしてそれに反抗する星系にはすぐに兵が向けられた。そして占領されその勢力圏に組み込まれていく。何時の間にか彼は一大勢力となっていたのであった。
だがそれで終わりではなかった。彼には次の目標があった。
「コノートだ」
彼は開口一番こう言った。
「帝国軍の本拠地であるコノートに向かう」
「コノートにですか」
「いよいよ」
それを聞いた参謀や艦隊司令達は皆声をあげた。
「そうだ。まずは護り、そして予備戦力として一個艦隊をこのカレオールに留める」
まずは護りを備えることにした。
「その司令官はヴァイクル大将とする」
「はい」
ヴァイクルがそれに応えて席を立った。
「それでよいな」
「お任せ下さい」
彼は敬礼で応えた。
「必ずや留守を預かって御覧にいれます」
「うむ」
トリスタンはそれを聞いて頷く。そして彼を座らせた後で話を続けた。
「そして残り四個艦隊でコノートを攻める」
「はっ」
「そしてその総指揮は私が執る。それでよいか」
「お待ち下さい陛下」
だがここで参謀の一人であるアダムが手をあげた。
「どうした」
「まだコノートにいる帝国軍の全貌がはっきりしておりませんが」
「帝国軍のか」
「そうです。攻めるのはその全貌がわかってからでよいと考えるのですが」
「それには一理ある」
トリスタンもそれを認めた。
「確かに帝国軍の全貌ははっきりしていない」
「はい」
「その状況で攻め込むのは非常に危険だ」
「では」
「だがだからといって彼等を放置しておくわけにはいかない」
そしてそのうえでこう述べた。
「まずは兵を進め彼等の出足を封じる」
「ではまずは進出ですか」
「うむ。フランシーズまでな」
今トリスタンの勢力圏にある星系の中で地理的に極めて重要な星系である。コノートにも睨みを利かせることの出来る場所に存在している。
「まずはフランシーズまで進出する」
彼は言った。
「そしてそこに腰を据え情報収集を本格化させたいのだ」
「近い場所ですか」
「その通りだ」
「成程」
部下達もトリスタンの考えがわかった。
「それでどうか」
「そこまでフランシーズはよい場所なのでしょうか」
ホッターが問うた。
「あそこは確かにコノートに近いですが軍事基地は」
「情報基地は充実しているのだ」
「まずは情報ですか」
「そうだ。また既にその他の設備の拡充も命じている」
「もうです
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