第85話 後始末は自分の手でつけるのが世の中の鉄則 その1
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まぁ此処は夜の街だ。酔っ払いは星の数ほどいる。ましてや酔っぱらった天人など珍しくもない。
心配するだけ野暮と言えよう。
銀時はそんな二人を少し見ていた後、ザフィーラの残した勘定を持って支払いを済ませようと親父に渡す。
「さて、俺もそろそろ帰るか。帰りにどっかコンビニにでも寄ってイチゴ牛乳でも買って―――」
「おい兄ちゃん」
そっと席を立ち、屋台を後にしようとする銀時の裾を親父の手が捕まえて来た。
「あん?」
「勘定・・・全然足りねぇぞ」
「・・・へ?」
よく見ると、親父の手に握られていたのは千円札と書かれた居ちまい切りの札だった。
ザフィーラはてっきり1万円を置いて行ったつもりだったのだろうが、彼が置いて行ったのは、代金とは到底及ばない額しか置いて行ってなかった事になる。
しかも、今しがた二人は帰ってしまった為に実質残りの額を自分が払わなければならない事になる。
これじゃタダ酒どころか損酒だ。
「あ・・・あの駄犬がぁぁ!」
「どうでも良いけど、さっさと払ってくれや。代金9890円な」
結局、残り8880円は銀時の懐から支払われる羽目になってしまった。
その時、銀時はすっかりへこんでしまい肩を落としながらとぼとぼと帰路についたとその時の目撃者は語っていた。
***
時刻は既に日が空に昇り、晴天が人々を見下ろす中、前回すっかり懐が寒くなってしまった銀時は、万事屋内にある自分の指定席でもある椅子の上に座ってぐったりしていた。
まだ昨晩の酒が残っているのだろう。青い顔をした銀時が微動だにせず唸り続けている光景が其処にはあった。
「あ〜〜、頭いって〜〜、気持ち悪ぃ〜〜」
「大丈夫ですか? お父様」
青ざめた顔で項垂れた如何にも画面真っ赤っかなひん死状態な勇者みたいな現状の銀時にシュテルは心配そうな視線を向けていた。
実際銀時がこんな状態になるのは何時もの事なのだろうが、生憎シュテルはまだ万事屋での経験がない為に二日酔いを引きずっている銀時がとても心配なのだそうだ。
現在、万事屋内には銀時とシュテルの二人しかいない。新八はこないだの自動防衛装置の取り外し云々で忙しく今日は仕事を休んでいるようだし、神楽は定春の散歩で今頃江戸町民たちを震え上がらせているに違いない。
そんな訳なので今、こうしてこの中に居るのは銀時とシュテルの二人しかいないと言う事になっている。
「あ〜〜、シュテル〜〜。茶〜〜くれ〜〜。もしくは水〜〜〜。あ、でもやっぱイチゴ牛乳くれ〜〜」
「分かりました。少々お待ちくださいね」
てっきり台所まで取りに行くと思っていた銀時の目の前で、シュテルは目の前にある横長のテーブル上の一角を数度指で叩き始
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