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リング
100部分:イドゥンの杯その六
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て許されない。無闇な血を欲する者を」
「では」
「そうだ。今ここにカレオール藩王として達する」
 彼は言った。強い毅然とした声になっていた。
「私は帝国に従うことはない。何としても止める」
「では出陣ですね」
「そうだ。指揮は私が執る」
「藩王自らですか」
「カレオール王家の家訓だ」
 彼は言った。
「戦場においては必要とあらば自らも赴く。今はその時だ」
「はい」
 ホッターは頷いた。その家訓のことは彼もよく知っていた。だからこそ頷いた。
「まずは周辺の星系と条約を結ぶ」
 外交からはじめていた。
「友好相互援助条約をな。よいな」
「わかりました」
「そのうえで兵を動かしていく。帝国の勢力圏及び友好的な勢力を倒していく」
「兵力は」
「五個艦隊だ」
 今カレオールにある全戦力であった。
「それで以って攻撃に出る。よいな」
「御意」
 こうしてトリスタンの行動は決まった。ホッターはそれを受けて部屋を後にする。トリスタンはその後姿を見ながら政治とは別のことを考えていた。

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