第9話 魔王降臨
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いなやつ。……薄ら思い出してきた」
ロッキーに見覚えがある様で、サテラは攻撃をとりあえず止めた。
「ど、どうしてこんなひどいことばかり……。昔は人間とも仲良くしていただすのに……」
「………っ、何?」
それはロッキーの悪手だった。
琴線に触れる一言。サテラを激昂させる一言だったから。
「馬鹿を言うな!! 誰が貴様らなんぞと!! 誇り高い魔人のサテラだぞ!! ふざけた事を抜かすと―――!!」
「で、でも、ランス様…… いえ、シィルさん。……そう、ユーリ様はどうだす!? 今のサテラ様を見れば、……きっと悲しむだす」
「っっっっ!!!」
琴線に触れ、激昂し ロッキーを粉砕しようとまでしたサテラを止めたのはある人物の名だった。
己の業の由来。サテラの漆黒の鞭は、その人物を思い描き……今日まで人知れず鍛え、酷似する業へと昇華させた。いつか、その隣へと立とう……と言う淡い想いを胸に描いて。
確かに当時であれば、サテラは人間の分際で、や 家畜に等しい……などとは口が裂けても言わなかった。
魔人界を二分する戦争……、そして 自分達が負けた。……それを救ってくれたのが人間だったのだから。
だが――今はその人物はいないのだ。
「だ、だまれだまれだまれだまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!! その口、今すぐ閉じろ!! さもなくば、本気で、本当に殺す。その身体、四肢をバラまいて、魔物どもの餌にするぞ!!」
殺気をロッキーへと全力で飛ばす。魔人の殺気は普通の人間が受ければ、それだけで気を失う程のものだが、ロッキーは退かなかった。
「お、おらは殺して構わないだす!! そ、その代わり、せめてこちらの方だけは見逃してほしいだ!」
「……なに?」
ロッキーは、地に膝をつき、何とか立ち上がろうともがいているエールの傍へと行った。
「こちらのエール様は……、ユーリ様のご子息だす。殺してはダメだす! ゆ、ユーリ様が悲しむ。あのお人が涙を流す様なところなんて、見たくないのは同じである筈だすっっ!」
「っ………!!」
知らない、訳ではない。
彼はいつも強く、人類の前に立ち、戦い続け……泣き言1つ言わなかった。
だが、そんな男でも涙を流す所があった。あろう事か……魔人……その使途に対して。
ホーネットの使途であるレイコ。ホーネットを助ける際に、その使途達も救った。だが、傷が深すぎて……安全地帯に連れて行った時にはもう……。
所縁があったのだろう。
そっとその死を看取る時、彼は涙を流した。 人間にとって、使途とは……魔人の使途とは、状況的には敵である筈。なのに、彼は涙を流した。……サテラにとってもホーネットの使途は仲間も同然。……友達も同然だった。
悲
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