第9話 魔王降臨
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だからこそ、これまでの窮地で彼は行動をしてきた。
過剰な接触と奮闘はしていないが、それでも 死なせない行動は止められなかった。
初めて出た勇者災害の時。
そして 鬼畜王戦争の時。
本来であれば、あの時の様に最前線に立ちたい気持ちもあったが、今はそうはいかない。……まだ、見ている奴らがいるから。
「共に行動する……。仲間になる、と言うのは聊か早いと思うが こういう場所ででは手を貸す。そのつもりでホーネットの元から早々に去った。それに常に危険地帯にいる訳でもないだろう」
『あー、それもそうか。いきなり翔竜山に来てたから、ちょっと感覚が……』
「それはあの子達の感性の問題だな。今回のを気に、軌道修正を願うとする。……まぁ 魔人と相対すれば――」
最後まで言わなかった。
人と魔人の差。現時点での差。
確かにエールは強い。年齢を考慮すれば間違いなく世界でも屈指の実力者であると言えるだろう。だが、それでも差は埋まらない。それ程の差を持つのが魔人だ。
ゾロは再び歩き始める。
そして、ゾロが考えていた通り、エールたちは魔人の力を、その差を噛みしめる結果になっていた。
それは、数十分後の事。
魔人サテラとの戦闘。アームズが聖刀日光を用いて 魔人サテラのもつ絶対的な結界を打ち払い、何とか五分の条件に持っていったが。
「あーはははは! 弱い弱い!」
それだけで魔人と対等に戦えると思えば大間違いだ。
エールたちはもうほぼ戦線離脱。アームズ1人で戦っていた。
確かにアームズは魔人を倒した伝説の人物の1人。だが、それは魔王ランスが戯れに生み出した魔人の1体。言わば下っ端の魔人だ。
魔人サテラは、先々代魔王ガイの時代より見出された人間の魔人。戦闘力もさておきながら、共に従えている二体のガーディアンも強固である。
更に まだまだ発展途上、戦闘経験の乏しいエールたちと比べ、以前打倒した時に連れ添った同じく伝説の戦士、神無城 清十郎とでは 明らかに力不足だった。
「くっ……、やはり魔人サテラともなると、新入り魔人とは格が違うか……。清十郎……っ」
今は離れている恋人、清十郎を思い浮かべるアームズ。だが、その考えを直ぐに改めた。女としての幸福を甘美もしたが、冒険に出ている今の自分は冒険者であり、戦士。その様な甘えは戦場においては 無意味で無価値、更に危険と油断を産むからだ。
頼れる恋人がいない事実は変えられない。今変える事が出来るのは己の力のみ。そして 得物の聖刀日光。
「日光……、もう少し融通を効かせることはできないのか?」
だが、その伝説の武器も明らかにパワーダウンしている。無敵結界を払う事が出
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