第二章
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「だから今からコンビニ行って」
「それでかよ」
「何か甘いもの買って来るわね」
「コンビニならうちから歩いてすぐにあるぜ」
「そこに行くわ」
春菜もよく知っている店だ、翔太の家までは自宅から自転車で行き来することが常だがその自転車で寄ることも多い。
「そこでアイスでも買って来るわ」
「じゃあ俺も行くよ」
「翔ちゃんもなの」
「アイスって聞いたらさ」
翔太は春菜に目を輝かせて言った。
「俺も好きだから」
「食べたくなったのね」
「何か買うよ」
「太るわよ」
春菜は笑って翔太に今しがた彼が言った言葉を返した。
「甘いもの食べたら」
「俺も九時以降食べないから」
「それ今思い付いた言葉でしょ」
「元々九時になったらお風呂入って寝てるし」
「それでなの」
「もう食べてないよ」
こう言いつくろうのだった。
「九時には」
「そうなのね。じゃあ今からね」
「ああ、コンビニ行こうな」
二人でこうした話をしてだった、春菜は翔太と共に彼の家の近所にあるコンビニに向かった。この時春菜はしっかりと翔太の両親に行き先を言ったが。
翔太の母、春菜の叔母が春菜にこんなことを言った。
「夜道だから用心してね」
「痴漢に?」
「それもあるらしいけれど出るらしいから」
こう春菜に言うのだった。
「最近ね」
「出るって痴漢が」
「それは今言ったじゃない」
既にというのだ。
「違うわよ」
「じゃあ何が出るの?」
「これよ」
ここで両手を前にだらりとさせて出して見せたのだった。
「これが出るのよ」
「幽霊が?」
「何か幽霊じゃなくてね」
それ以外のものだというのだ。
「妖怪らしいわよ」
「妖怪ですか」
「それが出るらしいから」
だからだというのだ。
「気をつけてね」
「襲われたり食べらたりですか」
「そうした話はないわね」
妖怪と言えばそうした話が付きものだがというのだ。
「別に」
「じゃあ驚かせてくるんですか」
「ええ、それだけみたいよ」
「そうですか、じゃあ安心ですね」
春菜は叔母の話を聞いて笑って返した。
「別に」
「えっ、春菜ちゃん怖くないの」
「だって襲われることも食べられることもないなら」
それならとだ、明るく笑って返す春菜だった。
「別に怖くないですよ」
「驚かす位なら」
「はい、それなら痴漢の方が怖いです」
人間のそうした面々の方がというのだ。
「ですから」
「怖くないの」
「そうした妖怪なら平気ですから」
「強いわね、春菜ちゃん」
「お化け屋敷も怖くないですから」
至って平気な顔の春菜だった、それで実際にだ。
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